「三母音」について(沖縄語の勉強会)うちなーぐち講座《1》

昨夜は鳥の研究。本日はガラっと変わってウチナーグチの研究です。

ウチナーグチの母音について、[e]が[i]に、[o]は[u]に変わるので、だから[a]、[i]、[u]の三つしかないのだというような言われ方を、よく耳にすることがあります。これって、ちょっと昔、かの伊波普猷先生が、何かの書物で書いてしまって、それが定説っぽく伝わったので、そう思い込んでいる人たちが多いということらしいのです。

ちなみに、[e]が[i]に、[o]が[u]に変わることを高舌化(高母音化)といいます。[a]と[i]と[u]は、極めて区別しやすい安定した母音なので、この三つしか母音を持たない言語は、アラビア語やブライ語など、世界中にいくらでもあります。

しかし実際は、沖縄語の母音は三つだけではありません。確かに、短母音での[e]と[o]は極めて少ないのですが、皆無ではありません。例えば「蝶」のことをハベル(haberu)というように、[e]や[o]の短母音も存在するのです。
また、連母音[ai]は長母音[e:]に、同様に[au]が[o:]に変わるというのも、ウチナーグチの特徴で、つまり[e]と[o]も、長母音でならいくらでも存在するということですね。

この[ai]→[e:]、[au]→[o:]という変化は言語学的には普遍的な現象で、この変化によって3母音体系から5母音体系に移行した言語も多いのです。サンスクリット語などもそれです。逆に5母音から3母音へ単純化された言語もあり、ウチナーグチもそのひとつだということになっていますが、ということは、ウチナーグチはその後、再び[e]と[o]を、[e:][o:]という形で組み込んだということなのでしょうか。

もともと日本語の母音は8音だったとか6音だったとか、いろいろな説があるのですが、ともかくそれよりもずっと前の紀元300年くらいに沖縄と大和のことばは分化されたというのが、今のところ一番有力な説ではあるらしいのです。しかし、もともと大和の言葉の基本母音は3音であって、だからウチナーグチは、こうした音韻に関しても古い大和言葉を残しているのかもしれないというような試論もないわけではありません。だとすると、大きく変化したのは大和の言葉のほうだということになりますね。でも、この説はちょっと無理があるかな。

それはそれとして、ウチナーグチに見られる変化と同様の現象は、大和の言葉にもあります。
ちゃきちゃきの江戸弁では、大根を「でーこん」、大概にしろは「テーゲーにしやがれ」といいます。どうです、これ、ウチナーグチで起こった変化と全く同じです。といってもこの音の変化は、やっぱり世界中にある現象なので、特にウチナーグチと大和の言葉を、ことさら関連付ける類の話ではありません。

ほかにも東北弁と比較するのもとてもおもしろいのですが、今日のところはこの辺で。

さて、今、僕に興味があるのは、こうした変化が何故起こるのかということなのです。もちろん政治や経済の「力」が大きく影響してきたということも否定できません。時にその「力」が、理不尽な「暴力」であったこともあるわけで、それは決して許されることではありません。しかし、長い歴史における言葉の変化を知れば知るほど、行きつ戻りつ、大きなうねりを伴いながらも、人智の及ばない根源的な何ものかへ向かって変わっていこうとする「言葉の不思議」も見えてくるのです。そうしたとき、言葉の平板化も、鼻濁音の衰退も、「ら抜きことば」も、言葉の乱れとは全く別の顔を見せ始めるのです。

[e]が[i]に、[o]が[u]に変わる高舌化は、口や舌の動きが小さくなるので、一種の省エネですね。そのようして労力を減らしておきながら、空いた[e]と[o]の席に、まったく別の出自をもつ連母音を長母音化して座らせたウチナーグチ。これ、勉強を始めたばかりの僕には、なんとも不思議なことなのです。
1から24までの正方形の駒を、1個の隙間を利用して順番に並び替えていく、あの懐かしいパズルを思い浮かべます。
今のコンピューターには、ハードディスクの中のデータを整理してくれる「デフラグ」という機能があります。あれ、結構時間が掛かりますよね。なんだか言葉も、それに似た作業を、気の遠くなるような年月をかけて行っているのではないのか、そう思えてきたのです。

生きたウチナーグチを残す、そうしたいと思って「おきなわおーでぃおぶっく」の新しい企画を始めたわけですが、しかしほんとうの意味での生きたウチナーグチとはどういうものなのだろう、甘受すべき変化も、見極めなければならないのではないか、なんだか迷宮の入口に立っているような、そんな不安に僕は包まれています……

というようなことを考えながら、「沖縄語を話す会」の勉強会へお伺いしたのでした。
上級者と初心者に別れての勉強。僕は初心者のテーブルに席を頂き、見学させていただきました。
本日のテーマは「無(ね)ーらん」の二つの使い方について。
「飲んでない」をこの表現を使っていうと「ぬでーねーらん」といいます。
「飲んでしまった」は「ぬでぃねーらん」といいます。
これって、よく使われる表現なのですが、難しくないですか。飲んだのか飲まないのか、真逆の意味です。病院で薬を飲んだか飲まないか、間違えて看護士さんに伝えたら大変なことになってしまいます。

グループごとの勉強会を適当なところで切り上げて、後半はみんないっしょになって昔物語(んかしむぬがたい)を読みます。
今日の題材は「大里ぬ鬼(うふじゃとぅぬうに)」です。
このはなし、オバアから聞いたことがあるよとか、うちのほうではこういうんだとか、実に楽しく豊かなひと時です。

あっという間の2時間半、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。もっとたくさんのことをご紹介したいのですが、間違ったことをお伝えしてはいけないので、僕自身もう少し勉強してから、お話ししたいと思っています。

【復習】
この勉強会で習っているのは、基本的には首里の言葉ということで、帰ってからちょっと調べてみたのですが、沖縄本島の中部、今帰仁(なきじん)地方では、なんと「飲んでない」も「飲んでしまった」も、どちらも
「ぬでぃねん」
というのだそうです。では、どのように区別するのでしょうか…
それは「飲んでない」の方を
「ぬでぃ ねん↑」
と微妙な間を入れて上昇調で言うことによって区別するのだそうです。
うーん、ウチナーグチのCD、やはりハードルはかなり高そうですねえ。

訳あって、もう「さき、ぬまん」

tag: 伊波普猷  首里  沖縄語を話す会  高舌化  三母音  うちなーぐちフィーリング 

八木政男氏(沖縄2日目夕方)

八木政男さんとお会いするために琉球放送へ。
琉球放送会館

儀間進さんが橋渡しをしてくださいました。
 ⇒儀間さんが八木さんに声を掛けた話
八木政男さん
でも、つながりはそれだけではありません。
宇夫方路の琉舞の師匠である関りえ子さんは、2005年に芸能生活40周年を迎え、その年の9月25日に、その記念公演として、「絆・・・我した島~うむいまさてい」を沖縄県立郷土劇場で開催しました。その時の企画で、沖縄歌劇「仲直り三良小(なかなおりさんらーぐわー)」を上演したのですが、八木政男先生にはその演出をお願いし、また主人役での出演もしていただいたのです。そんなことがあって、宇夫方路は八木政男先生と面識がありました。
だからでしょうか。話はトントン拍子。

何のためにお会いしたのかはOfficial_Blogをお読みいただくこととして、そのほか大変おもしろいお話も色々づらづらと伺うことができて(ミステリー?)、中にはご報告できないようなものや、ご報告するのは問題ないのだが、ウチナーグチが分からなくて、聞いた時はとてもおかしかったんだけれど、今となってはうまく説明できないものなど(今度お会いする時はボイスレコーダーを持っていこう!金城くん助けて)、ご紹介できないのが残念至極です。

また「ウチナーグチの標準語」という、とても興味深いお話については、近いうちにOfficial_Blogか、Official_Siteにて、きちんとご報告しようと考えています。どうか、今しばらくお待ちください。

(この日、本当は儀間さんも御一緒にお食事をと考えていたのですが、昨日、儀間さんは高熱を出されて病院に運ばれたとのこと、決してご無理なさらないでと、儀間さんには後日お会いすることといたしました。というわけで、今日は八木さんとココでお別れです。)

かつお飯を食いに「苗」へ。
(怪しげに写っているのは金城史彦…)
苗の提灯と金城君 苗の看板
(文責:高山正樹)

tag: 沖縄_呑処食処.苗  金城史彦  うちなーぐちフィーリング  沖縄の旅_2009年春  八木政男  琉球放送会館  儀間進  ウチナーグチ  沖縄の標準語 

儀間進さんの長ーい雑談【「わー」と「わー」のはなし】

今日午前中は宜野湾の嘉数で太鼓の稽古。
ということで宜野湾にお住いの儀間進さんと、普天間飛行場の南にある田園書房で1時にお会いすることにしました。2階の、テーブルと椅子が置いてあるちょっとしたスペースにて、儀間さんの「うちなーぐちフィーリング」をオーディオブックにする企画の現状報告、30分くらいのつもりでお話を始めました。

「たくさんの若い人たちを交えて読みたいのです。」

すると儀間さんから出てきた名前……

比嘉光龍(ばいろん)さん「正統派の方言をしゃべるねえ」
親富祖恵子さん「首里のおばあちゃんから首里言葉を教わったから上手だよ」
知念ウシさん「外国人と結婚してラディカルな考え方を持っている人だ」
伊狩典子さん「首里言葉は、日本で言うと京都の言葉みたいなところがあってね、首里言葉はお高くとまっていてねと思う人もいる、それがいいという人もいる」
小那覇全人さん「この人がいいかな」
玉城満さん「この人に言えば14、5人集まるんじゃないかな」
(註:この方はあの「笑築歌劇団」を主宰されている方。でも今は政治の道に。奥様がプロダクションをやっていらっしゃるという話は聞いたことありますとは高山正樹談でした。)
吉田妙子さん「女優さんだね」
そしてやっぱり
八木(はちき)政男さんと北村三郎さん。一番は何と言っても北島角子さん。「若い人たちを指導するなら八木さんが適任だろうな」

こうして並べると、御年配の方も結構いらっしゃいますね。そしてみなさんこの道ではいっぱしの方々です。ご協力頂ければそれはそれは嬉しいのですが……。
ただしゃべっても生きた言葉にはならないよと儀間先生、そこはほんとにきちんとやらなければいけないと肝に銘じております。でも、だからといって、しゃべれる方々だけでこの企画をやっても、企画自体が生きたものになって拡がっていくかどうかはまた別です。たくさんの若者たちが、今はしゃべれないけれど、この企画を通して生きたウチナーグチを考え、八木政男さんのような方にご指導を受けて、一生懸命練習して、そうして出来上がったオーディオブックには、ちょっと拙いかもしれないけれど、色々な意味で彼らの生きた言葉が収録されている、そうなれば素敵だと思うのです。ハードルは高いけれど、なんとかやり遂げたいと思っているのです……
ということを、今度お会いしたときに儀間さんにお伝えしなきゃね。

「この間、目の前に八木さんが立っていたので、ポンと肩を叩いて、実はこういうふうな話があって、お声が掛るかもしれませんといっておきました」
先生、お気遣いありがとうございます。

それから儀間さんの話しは流れに流れて、あの伝説的な雑誌「琉大文学」のこととか、そして「わー」と「わー」のはなし。
 ⇒「わー」と「わー」をラジオでしゃべった時の記事
「わたし」と「豚」の発音の違い。そこで儀間さんは実演してくださったのですが、やっぱりよくわかりませんでした。どっちかが、「ゥわー」で、最初にウッと荷物を持つ時のように喉仏の下あたりに力を入れるのだそうです。
「ゥっ」「ゥを」「わゥッ」「ゴボ」「ブホ」「ゲポ」……、苦しい、だめだ、やっぱり、できない。無理です。
津嘉山さんは「う」と「わ」を一緒に言うのだとおっしゃっていましたが……
「をゥ」「オェ」、やっぱり無理です。

それから「やー」と「やー」も同じ。「家」と「あなた」
やっぱりどっちかが最初にイッと喉仏の下あたりに力を入れる。
「ィやッ」「うんや」「もういや」「いやん」「ばかん」「うっふん」……。できません。

方言のはなし。宮古は全く違う。沖永良部は沖縄に近い。鹿児島や熊本には沖縄と同じような言い方がたくさんある云々……。

このあたりですでに時間は2時半を回る。もう予定を大幅にオーバー。
「では、もうそろそろ……。」
「ごめんなさいね。僕は真面目な話がダメなんです。雑談が好きでね、雑談ばっかりなんですよ。教師をやっていた時も、教員室で雑談ばかり、後ろで聞き耳を立てている人がクスクス笑っていたり、お前うるさいからあっち行けと言われたりしたんです。だから今度高山さんが来た時はしゃべらないようにしますから」
「それはダメです。高山は儀間さんの雑談が大好きなんですから」
「いやいや」と儀間さんは笑っていらっしゃいました。
で、今回は儀間さんのお写真を撮るのを忘れてしまいました。

儀間さんとお別れして「おきなわ堂」へ御挨拶に。
本日の商品展示状況。
null
あ、coccoの隣だ!

人類館のチラシを置いて頂きました。
null


それからちょっと頼みごとがあって琉球新報へ。
今日はいい天気でした。
null

tag: 津嘉山正種  八木政男  琉球新報  沖縄の旅_2008年冬  おきなわ堂  おきなわおーでぃおぶっく  うちなーぐちフィーリング  儀間進  声門破裂音  太鼓 

JIN DANCE FACTORY LIFE 5 本番

null

11:00会場入り

JINさんです!
null null
かおるさんは昨晩24:00から3時間かけてJINさんの衣装を縫ったのです。
御苦労さま。

14:30から、リハ。
null
開場17:30 開演18:00

宇夫方路は佐藤美智子さんとを加那ヨー天川を踊りました。
null null
狛江近辺で大人気のコマレンジャーも御出演。記念撮影。
中に入っているのは…
企業秘密。

22:00から打ち上げ。
JINさんの3番目のお子様、HOTARUちゃんと
インストラクターのAtsushiくんです。
null
HOTARUちゃんも勿論踊りました。

実はAtsushiくん、沖縄の那覇出身。
ということで、「おきなわおーでぃおぶっく」の儀間進氏のうちなーぐちを、たくさんの人たちで読んじゃおうという新企画に、読み手として参加してくれることに? 
でも彼、あのAFROISMのメンバー、木曜日の深夜に放送されているダンス番組にもレギュラー出演していて、今、人気沸騰中なのです。これからどんどんと忙しくなりそう。
うーん、でも、なんとか時間作ってさ、沖縄にいらっしゃるAtsushiくんおばあちゃんを喜ばそうね!

tag: 宇夫方路踊る  JINさん  うちなーぐちフィーリング  Atsushi  佐藤美智子  琉球舞踊  #かおるさん  JinDanceFactory  エコルマホール  コマレンジャー 

強行軍その1

10:30国立劇場おきなわ
null

11:00FM沖縄にて山川悦史さん
null

13:00沖縄タイムス
儀間進さんにお会いするのも、もう4回目、おきなわおーでぃおぶっく次回企画の詰めのご相談をしていたのですが、お話はあっちへ転びこっちへ転び、いつものことですが、それが全部ほんとに楽しくて貴重なお話なのです。今日もたっぷり聞かせていただきました。いずれゆっくりご紹介します。お楽しみに。
null
お馴染みの又吉さんと儀間進さんの2ショット。受付の椅子に座っちゃう儀間先生の遊び心が大好きなのです。いつもはカメラを向けると、真面目なお顔をされてしまうのですが、今日は笑わしちゃった。そうしたらどうですこの笑顔。これがホントの儀間先生のお顔です。ああ儀間先生を持って帰りたい。一家にひとり儀間おじい…
 ⇒《儀間さんのスマシタお顔を拝見する》

tag: 裏へ  又吉千夏  FM沖縄  山川悦史  沖縄の旅_2008年秋  国立劇場おきなわ  沖縄タイムス  おきなわおーでぃおぶっく  うちなーぐちフィーリング  儀間進 

儀間進さんにお会いしました。

沖縄新都心、おもろまちにある・・・
null

沖縄タイムス社で・・・
null

儀間進さんに・・・
null
お会いしました。

儀間進さんは、9月2日の記事に貼り付けた画像の、右側の下から2番目の本を書かれた方です。
今日は日曜日だったので、残念ながら受付のお二人は
null
お休みでしたが・・・
まあ高山は東京なので、特に残念がる人はいませんでした。

タイムスの裏手にあるファミリーマートでは
こんなものとか・・・
null

こんなものなどが・・・
null
売られていましたとさ・・・

続きを読む

tag: 沖縄料理.ポークたまご  沖縄料理.油みそ  おもろまち  沖縄タイムス  儀間進  おきなわおーでぃおぶっく  うちなーぐちフィーリング  沖縄の旅_2008年秋  沖縄料理.ゴーヤーチャンプルー 

本たちがやってくる

事務所の棚。
高山正樹が自分の書斎から持ち出してきた本が、だんだん増えてきます。
終末が近づいてきてるのかなあ・・・

null

よく見ると、ミステリーの種とヒントが・・・

色々と整理しないとね。

明日、高山は久々の地図調査です。
ちなみに、歩きの調査を「実踏調査」といいます。

続きを読む

tag: お蔵入り  裏へ  おきなわおーでぃおぶっく  ノロエステ鉄道  うちなーぐちフィーリング  カクテル・パーティー  地図の仕事