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喜多見の“キャッツアイ”

球屋さんを出ると、どこからか歌声が聞こえてくる。
二軒隣の“キャッツアイ”

カラオケか…、何年やってないんだろう。

喜多見探検隊としては、ちょいと覗かないわけにはいくまい…って、いつも通ってる道なのに、なんで今夜に限ってそう思ったのだろう。

まさにカラオケスナック。10年以上も前のこと、ドサ回りで行った地方都市の場末のスナックを思い出す。
料理なんてありゃしない。ツマミは乾きものだけ。どうしても御所望ならば、球屋さんに出前してもらうらしい。

飲み食いしたいなら別の店に行くだろう。ただ飲んで歌いたいだけならカラオケボックスの方がはるかに安上がりだ。でも、カラオケスナックって、なんか違うんだよね。

ここではきっと、いい歳したおじさんたちが、昔の小さな夢の名残を、グラスの氷と一緒に転がしながら、自分でも気づかずに、そっと涙を流しているんだ。そんな遊びに付き合ってくれる女性なんか、滅多にいるもんじゃない。
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ママと、それから彼女は……?
彼女たちの笑顔が、時々嘘の作り笑いだってことはよくわかってるさ。でも、それがなんだってんだ。どんなに苦しいことがあったって、萎れたおじさんのためにいつも頑張って笑ってくれる女性なんて、いったいどこにいるんだ。お父さん、最近あなたの奥様の笑顔、見たことないでしょう、なんてね。

きっと、あんまり親しくなっちゃいけないんだと思う。ママが休日何しているのかなんて、聞いちゃいけないのだし、お客だって、ここでは会社の上司のグチなんかこぼしちゃいけない。自慢話も禁物だね。じゃないとさ、みんなのそれぞれ手のひらに乗っかっているちいさな思い出たちが、消えてなくなっちまうからね。

それから、お客さんがみんな顔見知りなんてことになっても、きっとつまらない。微妙なサイクル、でも難しいことだね。
ボトル入れちゃったからね、期限切れないうちにまた覗いてみるよ。

ママと彼女の名前はそれまでのミステリー。謎があれば夢は途端に輝きだすものなのだから。

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(21日午前2:00)

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