2018年05月12日(土)23時30分
僕は仲介者なのかな
チビチリガマに寄って、そっと野仏に手を合わせる。

読谷到着。

するといきなり金城実さん。
「いいところに来た。買い物に行こう」
実さんを乗せて車で出発すると、そこへ知花昌一さんの車。
「買い物に行ってくる」
「ああ」
みたいな会話。
「いいんですか」
「まあ、いいじゃろう」
買い物は買い物だが、塩ビのパイプ何本も買って、それを自分たちでをカットするのだから、小一時間かかる買い物。

戻ってくると、知花さんはしびれを切らしたのか、もうお帰りになっていた。
短く切った塩ビのパイプは、野仏の土台にするのである。


実さん、100体を目指すらしい。
働いたら腹が減った。奥様も一緒にお昼へ。
いつものように、またご馳走になってしまった。
先日のこと。実さんから電話があった。
「前からあんたに読ましたいと思っていた例のやつなあ、見つかったから今度来たら渡す」
忘れるわけがない。お昼を食べてアトリエに戻ったボクは実さんに聞いた。
「例のやつ、ありますか?」
「例のやつ? おお、あれな、どこやったかなあ、この前みつけたんじゃが」
と、実さんはガサゴソ探し始めた。
「かかあに整理しろ整理しろとうるさく言われているんじゃ…」

「あ、名嘉さんの本、売ってるんですね」
(ガサゴソ探しながら…)「応援してやろうと思っておいてあるんじゃが、全然売れん」
「ボク、一冊、買います」
「あった、あった」
「例のやつ」とは、実さんがこのところ書き綴っている平敷屋朝敏の研究論文。僕にとっては宝物である。
その宝物を持って、アトリエ中2階の実さんの書斎に入り込んだ。

「ここ、気持ちいいですね~」
「そうじゃろう」
いつだったか、金城さんと平敷屋朝敏の作品における大和的なモノと沖縄的なモノみたいな話をしたことがある。
「なかなか勉強しちょるな」…と、実さんは笑顔になった。
僕が琉球の古典を三線で弾くということと併せて、そのころから、僕は実さんにきっちりと認知されたような気がする。だから、僕は実さんと、決して「運動」みたいなことを通して繋がっているのではないのである。
いつしか夢の世界。満腹になったら昼寝、まるで子供だな。いや、老人の居眠りかな。
今回の旅の最大の目的は、識名さんの畑の最後のトマトを収穫してくること。それから、この金城実の平敷屋朝敏論をゲットすること。そのふたつはクリアした。しかしもうひとつ、大切なミッションがある。それは、映画監督の仲村颯悟くんを金城実さんに繋ぐこと。
しばらくして、りゅうご君がやって来た。これで、ともかく金城実と仲村颯悟が繋がった。
そういえば、H氏が僕のことを仲介者(メディエータ)と規定していた。
「メディエータ」には幽霊と話ができる霊能者という意味もあるらしいが、ボクにそんな能力はない。沖縄には、特に女性にはけっこういるようだが。もしかすると、仲村颯悟も案外そんな能力の持ち主なのかもしれない。でなければ、「人魚に会える日。」なんて撮らないだろう(笑)
数日前に元山仁士郎君もこのアトリエに実さんを訪ねて来たらしい。そういえば元山くんと金城さんが初めて会ったのは、M.A.P.だ。今年の2月3日「喜多見と狛江で小さな沖縄映画祭」の時。
彼が進めている県民投票については、色々な意見がある。僕もどうなんだろうかと思っていた。なので金城実さんに聞いてみたのだ。いったい元山くんに、なんて言ったのか。するとこんな答えが返ってきた。
「どんどんやれと言ったんじゃ。若いものが自分で考えたことなら、どんどんと思い切って好きにやればいい。そうして空気が変わればいい。空気が重要なんじゃ。敵も空気なんじゃから」
なるほど、ボクは妙に納得した。
一方、仲村君の話もまたなかなかナイーブなことだったので、はたしてどうなるか、少し心配していたのだが杞憂だった。ただ今後どう展開していくのか、そこは実さんの意思がどうであれ、なかなか難しい課題もありそうだ。でも、きっと実さんが力を貸してくれるだろう。
実さんにはこういう懐の深さがあるから、色々な人がここへやって来るんだろうと、あらためて思ったのである。
でもね…
実さんの奥様はとっても素敵な方である。
「大和の人はミノルのことを持ち上げるけど、沖縄の人はそんなこと思ってないよ。ただの変わりモン、迷惑なじいさんだと思ってる。少年の心を持っているなんて、冗談じゃない、間もなく八十なのに、いまさら少年でもないでしょ~」
奥様は実さんを、深く愛している!…と、ボクは信じている。

仲村颯悟を金城実に繋げば、僕の役目は終わりである。
二人の話は続いているが、ボクは空港へ向かうのだ。これ以上ここにいると、東京に帰れなくなる。
【追伸】(6月28日)
元山君にあるイベントを案内した際、辺野古県民投票のことで沖縄に帰っているので参加できない旨の返事が来たので、金城さんのアトリエに行ったそうでとメッセージを送ってみた。すると「金城さんも呼びかけ人になっていただいてます🙋」という返信。なるほど、元山君、よかったね。

読谷到着。

するといきなり金城実さん。
「いいところに来た。買い物に行こう」
実さんを乗せて車で出発すると、そこへ知花昌一さんの車。
「買い物に行ってくる」
「ああ」
みたいな会話。
「いいんですか」
「まあ、いいじゃろう」
買い物は買い物だが、塩ビのパイプ何本も買って、それを自分たちでをカットするのだから、小一時間かかる買い物。

戻ってくると、知花さんはしびれを切らしたのか、もうお帰りになっていた。
短く切った塩ビのパイプは、野仏の土台にするのである。


実さん、100体を目指すらしい。
働いたら腹が減った。奥様も一緒にお昼へ。
いつものように、またご馳走になってしまった。
先日のこと。実さんから電話があった。
「前からあんたに読ましたいと思っていた例のやつなあ、見つかったから今度来たら渡す」
忘れるわけがない。お昼を食べてアトリエに戻ったボクは実さんに聞いた。
「例のやつ、ありますか?」
「例のやつ? おお、あれな、どこやったかなあ、この前みつけたんじゃが」
と、実さんはガサゴソ探し始めた。
「かかあに整理しろ整理しろとうるさく言われているんじゃ…」

「あ、名嘉さんの本、売ってるんですね」
(ガサゴソ探しながら…)「応援してやろうと思っておいてあるんじゃが、全然売れん」
「ボク、一冊、買います」
「あった、あった」
「例のやつ」とは、実さんがこのところ書き綴っている平敷屋朝敏の研究論文。僕にとっては宝物である。
その宝物を持って、アトリエ中2階の実さんの書斎に入り込んだ。

「ここ、気持ちいいですね~」
「そうじゃろう」
いつだったか、金城さんと平敷屋朝敏の作品における大和的なモノと沖縄的なモノみたいな話をしたことがある。
「なかなか勉強しちょるな」…と、実さんは笑顔になった。
僕が琉球の古典を三線で弾くということと併せて、そのころから、僕は実さんにきっちりと認知されたような気がする。だから、僕は実さんと、決して「運動」みたいなことを通して繋がっているのではないのである。
金城実アトリエ中二階で書見。海風心地良く、いつしか居眠り。ヤールーの声に起こされる。 pic.twitter.com/RY050bUSq0
— 高山正樹 (@gajumui) 2018年5月12日
いつしか夢の世界。満腹になったら昼寝、まるで子供だな。いや、老人の居眠りかな。
今回の旅の最大の目的は、識名さんの畑の最後のトマトを収穫してくること。それから、この金城実の平敷屋朝敏論をゲットすること。そのふたつはクリアした。しかしもうひとつ、大切なミッションがある。それは、映画監督の仲村颯悟くんを金城実さんに繋ぐこと。
しばらくして、りゅうご君がやって来た。これで、ともかく金城実と仲村颯悟が繋がった。
そういえば、H氏が僕のことを仲介者(メディエータ)と規定していた。
「メディエータ」には幽霊と話ができる霊能者という意味もあるらしいが、ボクにそんな能力はない。沖縄には、特に女性にはけっこういるようだが。もしかすると、仲村颯悟も案外そんな能力の持ち主なのかもしれない。でなければ、「人魚に会える日。」なんて撮らないだろう(笑)
数日前に元山仁士郎君もこのアトリエに実さんを訪ねて来たらしい。そういえば元山くんと金城さんが初めて会ったのは、M.A.P.だ。今年の2月3日「喜多見と狛江で小さな沖縄映画祭」の時。
彼が進めている県民投票については、色々な意見がある。僕もどうなんだろうかと思っていた。なので金城実さんに聞いてみたのだ。いったい元山くんに、なんて言ったのか。するとこんな答えが返ってきた。
「どんどんやれと言ったんじゃ。若いものが自分で考えたことなら、どんどんと思い切って好きにやればいい。そうして空気が変わればいい。空気が重要なんじゃ。敵も空気なんじゃから」
なるほど、ボクは妙に納得した。
一方、仲村君の話もまたなかなかナイーブなことだったので、はたしてどうなるか、少し心配していたのだが杞憂だった。ただ今後どう展開していくのか、そこは実さんの意思がどうであれ、なかなか難しい課題もありそうだ。でも、きっと実さんが力を貸してくれるだろう。
実さんにはこういう懐の深さがあるから、色々な人がここへやって来るんだろうと、あらためて思ったのである。
でもね…
実さんの奥様はとっても素敵な方である。
「大和の人はミノルのことを持ち上げるけど、沖縄の人はそんなこと思ってないよ。ただの変わりモン、迷惑なじいさんだと思ってる。少年の心を持っているなんて、冗談じゃない、間もなく八十なのに、いまさら少年でもないでしょ~」
奥様は実さんを、深く愛している!…と、ボクは信じている。

仲村颯悟を金城実に繋げば、僕の役目は終わりである。
二人の話は続いているが、ボクは空港へ向かうのだ。これ以上ここにいると、東京に帰れなくなる。
【追伸】(6月28日)
元山君にあるイベントを案内した際、辺野古県民投票のことで沖縄に帰っているので参加できない旨の返事が来たので、金城さんのアトリエに行ったそうでとメッセージを送ってみた。すると「金城さんも呼びかけ人になっていただいてます🙋」という返信。なるほど、元山君、よかったね。
2008年09月14日(日)20時33分
沖縄4日目その1(東江裕吉さんと幸喜良秀さん)
※国立劇場おきなわで、13日と14日の2日間、大城立裕さんの戯曲「嵐花」を上演。そのロビーで、出来上がったばかりのCDを販売させていただいた。
そのことについては8月15日に告知した。
⇒http://mapafter5.blog.fc2.com/blog-entry-651.html
以下、おきなわおーでぃおぶっくのオフィシャルブログから転載する。
9月14日、「嵐花」で、組踊りの創始者玉城朝薫の弟子平敷屋朝敏の役を務めている東江(あがりえ)裕吉さんに、楽屋でお話を伺いました。東江さんは、玉城流玉扇福珠会師範でいらっしゃいます。

東江裕吉さんのコメント:
大城先生の小説「花の碑」(「嵐花」の小説版)を読むと随所にヒントがあり、最後まで読み終わってなるほどなあと思いました。
平敷屋朝敏を演ずるに当たり、演出の幸喜良秀先生からは、あの時代に恋愛をするような喜怒哀楽の激しい性格を表現するように言われました。
普段は舞踊や組踊りにたずさわっていますが、今回は沖縄芝居に挑戦です。ウチナーグチはイントネーションが変わると意味が違ってしまうために非常に気を使っています。
今回の「嵐花」は、自分を含めて若手の舞踊家が演じるということもあり、初演とは雰囲気の違うものになったと思います。
沖縄の方言を知らない若者が増えているので、ぜひ「おーでぃおぶっく」で残してください。
東江裕吉さんプロフィール
昭和50年5月31日生まれ
8歳から踊りを始める
平成12年教師免状取得、平成19年師範免状取得
現在は組踊りと琉球舞踊で活躍中。
演出の幸喜良秀さんにもお会いしました。

「おきなわおーでぃおぶっく」の次回の企画は「人類館」ですが、元々この戯曲は、幸喜良秀さんの劇団、沖縄のアマチュア劇団である創造が初演した作品で、今年12月16日、早稲田大学の大熊講堂で再演されることが決まっています。もちろん演出は幸喜さんです。我々おーでぃおぶっくのスタッフも、当然この伝説的な舞台を観に行くことにしています。
幸喜さんからは、是非宣伝してねと言われました。言われなくても当然宣伝しますとも。
そのことについては8月15日に告知した。
⇒http://mapafter5.blog.fc2.com/blog-entry-651.html
以下、おきなわおーでぃおぶっくのオフィシャルブログから転載する。
9月14日、「嵐花」で、組踊りの創始者玉城朝薫の弟子平敷屋朝敏の役を務めている東江(あがりえ)裕吉さんに、楽屋でお話を伺いました。東江さんは、玉城流玉扇福珠会師範でいらっしゃいます。

東江裕吉さんのコメント:
大城先生の小説「花の碑」(「嵐花」の小説版)を読むと随所にヒントがあり、最後まで読み終わってなるほどなあと思いました。
平敷屋朝敏を演ずるに当たり、演出の幸喜良秀先生からは、あの時代に恋愛をするような喜怒哀楽の激しい性格を表現するように言われました。
普段は舞踊や組踊りにたずさわっていますが、今回は沖縄芝居に挑戦です。ウチナーグチはイントネーションが変わると意味が違ってしまうために非常に気を使っています。
今回の「嵐花」は、自分を含めて若手の舞踊家が演じるということもあり、初演とは雰囲気の違うものになったと思います。
沖縄の方言を知らない若者が増えているので、ぜひ「おーでぃおぶっく」で残してください。
東江裕吉さんプロフィール
昭和50年5月31日生まれ
8歳から踊りを始める
平成12年教師免状取得、平成19年師範免状取得
現在は組踊りと琉球舞踊で活躍中。
演出の幸喜良秀さんにもお会いしました。

「おきなわおーでぃおぶっく」の次回の企画は「人類館」ですが、元々この戯曲は、幸喜良秀さんの劇団、沖縄のアマチュア劇団である創造が初演した作品で、今年12月16日、早稲田大学の大熊講堂で再演されることが決まっています。もちろん演出は幸喜さんです。我々おーでぃおぶっくのスタッフも、当然この伝説的な舞台を観に行くことにしています。
幸喜さんからは、是非宣伝してねと言われました。言われなくても当然宣伝しますとも。
tag: 別ブログから 「人類館」 劇団創造 平敷屋朝敏 大城立裕 東江裕吉 おきなわおーでぃおぶっく 幸喜良秀 沖縄芝居 うちなーぐち
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