二重母音・連母音・母音融合

宇夫方女史が沖縄にいる頃、小生高山正樹は午前中人形町の主治医へ。2ヶ月前に貰った薬が切れた。正月のドサクサで、禁を破ってちょいと味の濃いものを食べたりしているうちに、健康ゲームも少し飽きてきた。そんなことを思いながら、事務所に戻って仕事をする。

このブログを読んでくださる方は、小生は酒ばかり飲んでいてちっとも仕事をしていないと思われているかもしれないが、そんなことはない。昨日だって税理士さんが来て、昨年、M.A.P.で働いてくれた60人くらいの源泉徴収表を作成し、山猫合奏団の合わせの開始時間ギリギリに間に合わせたのだ。僕の健康を害しているものがあるとすれば、酒よりも仕事だ、なんてね、嘘ばっかり。
酒をやめないのなら身体を動かすしかない。今夜は市民劇の稽古である。喜多見から鹿島田の稽古場まで自転車で行く。20km弱といったところかな。自転車に乗りすぎると、精子が減少するって知ってた?まあ、もうどうでもいいけれど。

稽古場に着く頃は、もう真っ暗である。多摩川の向こう岸の東京が、なんだか異様だ。
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厳密にいえば日本語には二重母音は存在しない。たまたま母音が続けて出てくるに過ぎない。例えば英語の[day]などは「二重母音」だが、それは言語学的には1音節である。日本語で母音がふたつ繋がる場合は、あくまで2音節なので連母音という。
連母音とは、「愛(あい:ai)」とか「上(うえ:ue)」とか、母音が2回続けて出てくる場合に限っていうのではない。「貝(かい:kai)」とか「杖(つえ:tue)」とか、言葉の途中に母音がくれば、必ずそこには連母音([ai][ue])が存在する。
ところで、「音節」と「モーラ」は違うらしい。

なんでまた唐突にこんな話を始めたのか。

M.A.P.after5は、複数の連載読み物の集合体である。市民劇の成り行きだけが御所望ならば、「川崎市」のカテゴリの中の「枡形城・落日の舞い」というサブカテゴリをピックアップして読んでいただければ事足りる。だがそうはいかないのがM.A.P.after5。こっちの連載とあっちの連載が、時に化学反応を起こし始める。
「連母音」についても、今回の市民劇の稽古のハナシをしたくて持ち出してきたことなのだが、間違ったことを書かないようにと調べていたら、沖縄語と関係するとても興味深いことがたくさん見えてきたのだ。それを語るために、唐突ではあるが、言語学的な導入が必要だった。

英語などの発音記号では、長母音は[a:]とか[i:]というふうに表記する。一方沖縄語の長母音は、例えば沖縄語辞典では[aa][ii]と表記している。しかしカナで書く時は、「ゴオヤア」とは書かず「ゴーヤー」とするのが一般的である。
 ⇒関連記事「うちなぁ」か「うちなー」か(比嘉光龍さんからの回答)
それはいったい何故なのか。音節とモーラの微妙な違いと、なにか関連があるのではないか。

また、日本語の連母音と沖縄語の長母音の関係には法則性がある。いくつか例を挙げれば、日本語の連母音[ai]は沖縄語では[e:(ee)]となり、[au]は[o:(oo)]、[oo]は[u:(uu)]となる等など。
 ⇒関連記事「うちなーぐち講座《2》の2」
今まで僕は、この関係を口蓋化や高舌化との関連で考えようとしていた。「言語の省エネ化」として、一般化できないだろうかと思ったのである。

ところが、どうもそう単純ではないらしい。話しは沖縄にとどまらないのだ。
日本の話し言葉には、古い時代から二重母音(連母音)が極めて少なかったという。二重母音が出てくると、母音融合を起こして一文字の母音(長母音の場合もある)に変換してしまう。しかし、書き言葉は依然二重母音を保持して、母音融合を起こしたがる話し言葉と対立していたというのである。やがて、書かれた文字の通りに話すことが「正しい」とされるのだが、母音融合は無くならず、江戸弁をはじめとするアウトローの方言に、たくさん受け継がれて現存している。

僕は、母音融合の有る無しを、地域差だと考えていた。だが、どうやらそうではないらしい。これを書き言葉(権威)と話し言葉(スラング)の対立として捉えたらどうなるか。すると、沖縄語(ウチナーグチ)も、新たな相貌を帯びてきて興味が尽きない。

ウチナーグチのカテゴリの下に「母音融合」というサブカテゴリを作ってみた。そして、それらのすべての記事に若干手を入れた。市民劇の話題だけが御所望の方にも、お読みいただければとてもうれしいのだが、役者には無用だろうか。

もちろん、専門的な言語学の知識を全く持たないこの僕には、母音融合の背景について、云々する能力も資格もないのだが、理が勝ちすぎている不幸な役者なので、日本の語り物のことばの形を、今一度じっくり探ってみたいと思ってしまうのだ。そんなことをしているから、自分の芝居は一向に弾けないのではあるが。

日本の語り物は二重母音(連母音)を大切に発音するという僕の思い込みが、果たして正しかったのかどうか。そういえば狂言には、特有の母音融合があるではないか。

例えば[au]は[o:]となる。
「謡う」は「うたう」ではなく、[utoo]と発音されるのがその例だ。
また、形容詞の「〜しい」は「〜し」となる。これは[ii]という二重母音(連母音)を嫌った結果である。
「ややこしや、ややこしや」


ほんとにややこしくなった。ここらで、話しを市民劇の稽古に戻そう。しかし少し記事が長くなりすぎた。ひとつワンブレイクを入れることにする。

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第6回 喜多見で沖縄語を話す会《うちなーぐち講座10》「代名詞」

最近事務所が忙しくて、なかなか仕事が7時までには終りません。また嬉しいことに、だんだんと“話す会”のメンバーも増えてきました。加えて車椅子の方からお問い合わせをいただいたこともあり、“喜多見で沖縄語を話す会”の会場を、階段を上がらなければならないM.A.P.事務所から、近くの公共施設に移すことにしました。
喜多見地区会館の第2会議室。
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小田急線喜多見駅から徒歩2分くらいのところです。

先々週の第5回では、日本語の「〜は」を、ウチナーグチではどういうのかということを教えてもらいました。それと一緒に、代名詞も勉強したのですが、それをちょっと専門的に説明してみましょう。

      近称 中称 遠称
日本語  これ  それ  あれ
沖縄語  くり  うり  あり

ところで、沖縄語には、[e]が[i]に、[o]が[u]にという、いわゆる「三母音化」(※高舌化・高母音化)の歴史があるということは、今まで何度かお話してきました。
 ⇒「三母音」というサブカテゴリーを作りました。
(※高舌化と口蓋化の関係を研究中です。)
さて、その法則からいえば、「これ」が「くり」に、「あれ」が「あり」にという近称と遠称については、なるほどと納得がいくのですが、中称が三母音化のパターンに当てはまらないのは何故なのでしょう。日本語の中称は「それ」、そこから類推すれば「すり」となりそうなものです。
『沖縄大百科事典』の「琉球方言の代名詞」の項に、こんな一文があります。
「琉球の形は古語の〈おれ〉に対応する形にさかのぼる」
ということは、日本語の古語では、「それ」のことを「おれ」といっていたということなのでしょうか。「おれ」が三母音化すれば確かに「うり」になりますよね。また調べたらご報告します。

しかし、“喜多見で沖縄語を話す会”では、こんなややこしい専門的な勉強をしているわけではありません。今日のはなしは高山正樹の趣味ですね。だいたい、メンバーがこのブログを読んでいるってハナシは聞いたことありませんし。

で、今日は「これ(くり)」「それ(うり)」「あれ(あり)」関連のお勉強をしました。
「この」と「その」と「あの」です。ウチナーグチで言うと「くぬ」「うぬ」「あぬ」です。

あぬっ人(ちょー)、いっぺー肝(ちむ)清(ちゅ)らさいびーん
あの人は、とっても心やさしいです。

美(ちゅ)ら海水族館なんてありますが、「ちゅら」に「美しい」という字を当てると、ちょっと違うのだ。「ちゅら」は「清い」というイメージに近い言葉なのだ。

こういうこだわりって、頑固な年寄りの小言なのでしょうか。そんなハナシをしながら、今日もあっという間に過ぎた2時間半でした。

今日は前回よりもちょっと増えた面子でafter勉強会。場所は“酒菜”。
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夏っちゃんのグー!
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第5回 喜多見で沖縄語を話す会《うちなーぐち講座9》「~は」

この日撮影した画像は全て間違えて消去してしまいました。あーあ…
そのあたりの事情は五味さんのブログにて。
 ⇒http://m53.blog80.fc2.com/blog-entry…

今日も川岸さんがシークヮーサーを差し入れてくださいました。大きいのは夏子さんのお土産、沖縄のタンカンです。
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(この画像は辛うじて残っていたお土産を後から撮影し直しました。)

さて、前回(第4回)の復習です。
くれー、うちなーぬタンカンやいびーん。

本日は、この「くれーこれは)」という言い方をもっと拡げて、「~は」全般のお勉強をしました。

日本語の助詞「」は、沖縄では「」です。日本語の「これ」は沖縄語では「くり」。とすると、「これは」は「くりや」となるはずです。確かにそれでも間違いではないのですが、しかしこの言い方は文語調なんですね。口語では使いません。普段の話し言葉では「くれー」となるのです。どういうことかというと、主語「くり」に助詞「」がついた時、主語の語尾が変化するということなのです。

また「あそこ」を沖縄語で言うと「あま」です。「あそこは」を文語的に言えば「あまや」ですが、口語だと「あまー」となるのです。

 「これは」→「くり」+「」→「くれー
 「あそこは」→「あま」+「」→「あまー

こうした語尾変化には規則があります。

1:まず、主語となる単語の最後の音が「ア段」の単音で、それに助詞「や」が付く場合は、最後の音がただ延びて長音になるだけ。「あまや」が「あまー」となるのがこれですね。「花は」は沖縄の文語的言い方では「花や」ですが、口語では「花ー(はなー)」となります。
花ー、ちゅらさん」(花はきれい

2:次に「イ段」の単音の場合は、「エ段」に変化して長音になります。「くりや」が「くれー」となるのがこれにあたります。「それ」は沖縄語で「うり」、「それは」は「うりや」で「うれー」となる。「あれ」は「あり」で「あれは」は「ありや」で「あれー」、みんなこのパターンですね。

3:「ウ段」の単音は「オ段」の長音に変化します。例えば……、と言葉を捜し始めてちょっと困りました。日本語に「ウ段」で終る名詞って以外に少ないんですねえ。何故だろうと考え出すと、けっこうおもしろそうなのですが、今日のところはやめておきましょう。沖縄語には「ウ段」で終る名詞がたくさんあるんですけどね。なぜなら日本語の「」がウチナーグチでは「」になる場合が多いから。例えば「箱(はこ)」はウチナーグチで「はく」です。だから「箱(はく)は」は「はこー」になる。でも、初心者には混乱してしまいそうな例ですよね。「福(ふく)」は沖縄語でも「ふく」、よし、これでいこう。「福は」は「ふこー」、あれ「福」は「不幸」? だめだ、別の意味で分かりにくい。
 ⇒沖縄のいわゆる三母音について(上舌化のこと)

4:「エ段」の単音と5:「オ段」の単音は、「ア段」と同じようにただ延ばすだけです。でもいい例がありません。なぜなら、ウチナーグチには「エ段」「オ段」の単音が殆どないのです。じゃあ、無用の規則なのかというと、そうでもなさそう。沖縄にとっての外来語である日本語の単語を、どう沖縄語に取り込むかを考える時、重要な規則になりそうです。このことはいずれまた。

6:主語の語尾が「」の場合は全て「のー」になります。「天は」は「てのー」。但し、唯一例外があります。「」は沖縄語で「我ん(わん)」です。ですから「私は」を規則に当てはめれば「わのー」となるはずですが、この場合のみ「我(わ)んねー」というのです。

7:最後に語尾が長音の場合は語尾変化は起きません。つまり、この時は助詞「」をそのまま付けるのです。「シークヮーサーは」は「シークヮーサーや」です。「ゴーヤーは」は「ゴーヤーや」です。
あれ、じゃあ「ゴーヤー」を「ゴーヤ」という八重山ではどうなるんだろう。むちかさん。
 ⇒八重山では「ゴーヤ」という

さて、この助詞「」に関する主語の語尾変化について、もう少し体系的に突っ込んだ説明をしたいのですが、そのためには、まず音韻講座を進めておいた方がよさそうです。そのあとで、またここに戻ってこようと思っています。

楽しいお勉強の時間が終って、國吉先生と富久さんと五味さんと、ふくやで一杯やりました。
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(この写真は五味さんから拝借しました。)

その後、國吉先生と富久さんは終電に急いでお乗りになりましたが、五味さん、もう電車ないよ。じゃあもう一軒だ。というわけでLa_Portへ。何故かベロベロに酔ってお店に入ってこられた狛江市の飲食店組合の偉い方(らしい)を交えての記念撮影。
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(この写真はデータを全部消してしまった直後に、気を取り直して撮影したものです。)

そしてこの日、五味さんは歩いて20分の本部事務所に宿泊されたのでした。

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第4回 沖縄語を話す会【沖縄語の音韻講座、プロローグ(4)】&講座《8》

前回(第3回)の喜多見で沖縄語を話す会は、去年の12月3日、事務所の小部屋でやりました。
12月14日、アサヒタウンズに紹介記事が掲載されると、多くの方からお問い合わせがあり、12月25日の忘年会を兼ねた“金城さんの沖縄料理を食べる会”をご案内したところ、たくさんの方にお越しいただきました。

そして本日、今年最初の“喜多見で沖縄語を話す会”の日がやってきました。
大盛況です。この短い期間でこんなふうになるなんて、きっとこれが「うちなーぐち」の力なんですね。
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ところで、M.A.P.after5ウチナーグチ講座のほうがちっとも進んでいませんなあ。
ということで、ここらでちょちょいと半母音のお話を。

【沖縄語の音韻講座、プロローグ(4)】
沖縄語の音韻講座を始めから読む
半母音も、言語学的に突き詰めればなかなか難しく、様々な考え方、説明の仕方があるようですが、ここでは日本語と沖縄語を考える上で必要なことだけ、簡単に説明いたします。厳密じゃないと怒らないでくださいませ。
日本語の母音は、あ・い・う・え・お の五つ。それに子音(k・S・T……)がくっついたものがあって日本語の音が出来ているわけですが、その子音と思しきものの中に、半母音がふたっつ混ざっています。それがWとYです。
この2個の子音が他の子音と違うところは、このWとYは、母音と他の子音の間に挟まって機能する場合があるということです。例えば、ひゃ(hya)とか、びゅ(byu)とか。
この母音と子音の間に挟まる[y]については、日本語と沖縄語に特に違いはないので、もう忘れてください。しかし[w]の方はそうはいかない。日本語の50音表には、母音と子音に挟まる[w]は見当たりませんが、沖縄語にはあるのです。それが[kw]と[gw]です。

そこで、前回の沖縄語の音韻講座プロローグ(3)の50音表に、この新たな2行を加えることにしましょう。

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この日の川岸さんのお土産、シークァーサー。
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さあ、これで沖縄の50音表が完成して、いよいよ音韻講座の本編に入れるのか、と思いきや、そうはいかないのです。
母音と子音に挟まれない場合の、つまり他の子音と同じ使われ方の[y]と[w]と、本来の母音と、こいつらが、沖縄語の音韻において、もっとも曲者なのです。結論から言うと、この沖縄語における半母音と母音は、それぞれ声門破裂音とそうでない場合とを分けなければいけないのです。

「あぬ うとー うとぅ うっちょーん」(あのご主人は評判がいい)
「うとー」「う」は破裂しない。「うとぅ」「うっちょーん」「う」は破裂する。

富久さんの頭も、破裂寸前です。
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声門破裂音については次回に詳しく。
沖縄語の音韻講座、プロローグ(5)へ
とりあえず声門破裂音のサブカテゴリーだけ作ってみました。
今日もあっちへ脱線、こっちに転覆。そのあたりは五味さんのブログへ。
 ⇒この日の五味さんの記事 

そういうわけで、肝心要のお勉強の方は、たったふたつの構文を習っただけで終ってしまいました。
うちなーぐち講座《8》

くれー、ぬーやが。(此れは何?)
くれー、ムーチーやん。(此れは餅だ)

くれー、ぬーやいびーが。(此れは何ですか?)
くれー、ムーチーやいびーん。(此れは餅です)
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金城さんが作ってきてくれました。間もなく鬼餅(ムーチー)。初孫ができたので、皆さんに配るためにいっぱい作ったんだって。
くゎっちーさびたん。(ごちそうさまでした)
(※あれ、「くゎ」じゃなくて「くぁ」じゃないのかって?そうなんです。「くゎ」って書いたり「くぁ」って書いたり、色んな人が色々な書き方をしているのです。これが沖縄語の表記問題です。それを何とかしようというひとつの提案が「新沖縄文字」なのです。)

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第3回 喜多見で沖縄語を話す会:うちなーぐち講座《7》【くまー喜多見やいびーん】

“喜多見で沖縄語を話す会”第1回
“喜多見で沖縄語を話す会”第2回

“喜多見で沖縄語を話す会”の第3回は7時から。その前の6時頃から、取材がありました。
朝日新聞姉妹紙のアサヒタウンズ。
さて、どんなふうに書いてくれるのかな。楽しみです。

現在「喜多見で沖縄語」皆勤賞の夏子さんが「mota」を連れて来た。「mota」ってどなた?
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もたち(mota)さんは沖縄関連ブログ界ではちょっとした有名人らしい。
もたちさんの私物です。沖縄限定の…… 聞いたけど忘れちゃいました。
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もたちさんの奥さんは植村順子さんというフルート奏者で……
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こんなコンサートをやってます。
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では、前回のお勉強「〜やん」の復習です。
「もたちさんやん
これを日本語に訳すと、「もたちさんだ」。

さて、今日はもう少し丁寧に。
「もたちさんやいびーん
「もたちさんです」ということですね。
でも、これではHe is Mr. Mota.にはまだ足りない。Heをつけないとね。
ウチナーグチで「この方」とか「こちら様」は、「くま」といいます。それから日本語の助詞「〜は」は、ウチナーグチでは「〜や」。だから「この方はもたちさんです」をウチナーグチで言うと、「くまやもたちさんやいびーん」となります。でも「くまや」はちょっと文語調で普通は使いません。はなしことばでは、「くまや」は「くまー」に変化して、「くまーもたちさんやいびーん」というのが普通ですね。

くま」には、「この方」とか「こちら様」の他に、「ここ」という意味もあります。
くまー喜多見やいびーん」(ここは喜多見です)
くまー金城さんやいびーん」(こちらは金城さんです)
くまー國吉さんやいびーん」(この方は國吉さんです)
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「この方」とか「こちら様」は目上の人に使う言葉。では単に「この人」という場合はどういうのか、それについては次回ということにしましょう。なんせ今日も脱線だらけで、なかなか先に進まなかった。でもこれがいいんだな。

というわけで、脱線ばなしをふたつばかりしましょう。

ウチナーグチは敬語が大切。奥さんが旦那さんに「かめー(食え)」なんて言ったら大変です。「うさがみそーれー(お召し上がりください)」と言わなきゃね。
沖縄では夫婦喧嘩も敬語です。「うんじゅ(あなたさま)」と丁寧に呼びかけて、「にち、うさがみそーれー」。ご自分で煮てお召し上がりください。厨房に入ったこともない誇り高き首里の男性にとっては、この妻の言葉は餓死しろと同じですなあ。

もうひとつ。
腹筋が痛くなるほど大笑いしたとき、日本語では「腹を抱えて笑う」といいます。では、ウチナーグチでは何というのか。「腹を抱えて笑う」を直訳すると、「わたぬ むちゃげてぃ わらゆん」となります。おなかを持ち上げて笑う。でもこれは間違いなのです。こういう直訳によって沖縄語が乱れてきている。正しくウチナーグチで訳すと、「わたぬ くふぁるか わらゆん」。この文章を、逆に日本語に直訳すると、「おなかが硬くなるほど笑う」。
さて、皆さん、どちらのほうが現象を的確に捉えていると思われますか?

おっと、また遅くなっちゃった。本日はここまで。
もう遅いのに、國吉さんをお誘いして酒菜へ。
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飲む酒は泡盛。肴はハタハタ。美味。
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ウチナーグチ談義はまだまだ続きます。
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それを尻目に、こちらはスーさんと琉球グラス談義。
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琉球グラスについては、いずれお話したいと思っているのですが、ちょっとナイーブなんだよなあ。
今日ももうすぐ終ります。
あれ、駅にたくさんの人が……
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壊れた「喜多見駅」の看板を直してるんですね。
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でも、ただ立ち話して見上げているだけの人たちがたくさん。
なんでかなあ……

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第2回 喜多見で沖縄語を話す会(うちなーぐち講座《6》)

沖縄から帰ってきた日の夜です。
今日は喜多見で沖縄語を話す会の第2回。11月9日の第1回に続いての開催です。
第1回も参加してくださった夏子さんと金城さんです。
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夏子さんについては以前ちょっとご紹介したので、今日は金城さんのこと。
金城さんは伊江島のご出身です。伊江島は本部(もとぶ)半島の北西に位置する島。沖縄本島から約10kmという近さですから、美ら海水族館などからも、伊江島のシンボルであるタッチュー(城山)がよく見えます。
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かつてこの伊江島には、沖縄での日本軍最大の飛行場があり、そのために、あの沖縄戦で熾烈な戦いが繰り広げられた島でもあります。
金城さんは今更あらためて勉強する必要のないくらいウチナーグチが堪能です。でも、私達の沖縄語を話す会に参加してくださいました。金城さんも、きっと充実した時間を楽しんでいらっしゃるのだと思います。うちなーぐち初心者のメンバーたちにとっても、金城さんのような方が一緒にいてくださることが、とっても楽しくて嬉しいのです。
「あめーけんちゃけんちゃ、ちゃーちゅーぱんじゃやてぃー」
伊江島の言葉です。沖縄本島からたった10kmしか離れていないのに、我が沖縄語を話す会の國吉眞正先生にしても、この言葉をスッと理解することはできませんでした。
「あめーけんちゃけんちゃ」は「あらー、まー」みたいな感じ。那覇あたりのウチナーグチなら「あいえーなー」といったところでしょうか。「ちゃー」は「ずーっと」、これは那覇や首里でも同じ。「ちゅーぱんじゃ」「がんじゅー」、つまり「元気」ですね。
久しぶりに会った人に、「あらまあ、ずっと元気だった?」と、はじけて思わずハグでもしそうな言葉です。沖縄本島の首里那覇周辺の沖縄語で表現するなら、「あいえーなー、ちゃーがんじゅーやてぃー」

こんな難しい勉強を、最初からやっているわけではありません。でも話はこんなふうにあっちこっちへ脱線します。これがまた楽しいのです。

で……
うちなーぐち講座《6》
今日正式に習った言葉は「〜やん」。日本語に訳せば「〜だ」「〜である」。基本的に勉強したは、たったこれだけです。

後は単語を少し。眼鏡は「がんちょー」で、砂糖は「さーたー」、間違いが「まちげー」だとか。単語は頑張って憶えようというわけではなく、ボチボチと、「へー、そうなんだ」みたいにゆるーいテンポでやっていきます。
「がんちょーやん」は「眼鏡である」で、「がんちゅーやん」は「元気である」だね。「なかなか上等やん」なんて言いながら。

あ、そうだ、ちょっと面白い単語のハナシはご紹介しておきましょう。
「スプーン」は「スプーン」ですが、「匙(さじ)」なら「けー」。「しゃもじ」は飯を掬う匙だから「みしげー」、鍋で使う「おたま」は「なびげー」。おー、分かりやすい。

そして新しい仲間のご紹介。夏子さんのルームメイトで広島出身の西武門(にしんじょー)もみ子さんです。
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独学で三線をやってます。西武門もみ子はもちろん芸名。「もみ子」の「もみ」は広島名物もみじ饅頭の「もみ」、西武門は「西武門節」からとったようですが、沖縄の人なら女性の名前にいくら芸名でも「西武門」とはつけないかな。北海道で言えば「すすきの花子」ってところでしょうか。でも、いい感じ。

今日もあっという間に終電近くなってしまいました。今日はここまで。
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みなさま、末永く宜しくお願いします。

tag: 西武門もみ子  沖縄_うちなーぐち.【うちなーぐち講座】  しまくとぅば  金城多美子  ゆんたくの会  山川夏子 

鳥小(とぅいぐゎー)《「ぐゎー」という接尾語について》

楽天市場“沖縄map”のブログ「沖縄mapのつぶやき」はM.A.P.の上原担当。今日の記事C・W・KYOKOさんの撮影した沖縄の空についてです。

楽天市場“沖縄map”のトップページのヘッダーにも、今までは夏バージョン用にC・W・KYOKOさんの写真をお借りして使わせていただいていました。
沖縄mapの旧ヘッダー
とはいえ、これは元データをトリミングして、その上に高山正樹がフリーソフトで書いた文字を載せてみて作ったもの。その結果、色あいと空間の拡がりを損なってしまって、とっても申し訳なく思っていました。

このたび、そのヘッダーを、上原さんが秋冬版の新バージョンに交換したようです。
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琉球絣の定番模様、「鳥小(とぅいぐゎー)」をあしらってみたようですね。

来年の海の季節には、またKYOKOさんと相談してみたらどうかな、上原さん。

さて、「鳥小(とぅいぐゎー)」にまつわるお話。
「とぅ」については、昨夜の沖縄語を話す会で話題にしたばかり。
「ぐゎー」はよく使われる接尾語。小さくてかわいいものの後につけます。だから「鳥小(とぅいぐゎー)」は「小鳥」っていう感じかな。
でもね、「ぐゎー」には軽蔑の意味もあります。「はーめーぐゎー」なんて言ったら、「ばばあ」という意味になってしまいます。沖縄の市場なんかでウチナーグチを使うと、お店のおばあさんはとっても喜んで、おまけしてくれたりしますが、十分に気をつけて使いましょうね。
(※分家にも「ぐゎー」をつけます。一番下の姉「んみーぐゎー」という言葉にもついています。)

「鳥小(とぅいぐゎー)」というと、ふじたあさや氏が1983年に書いた戯曲「翔びたてば鳥」があります。
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 女たちの思いが織りなす鳥小
 女たちの思いではばたく鳥小
 横糸のひとすじずつを
 まるで糸と語り合うように
 ぎりぎりの美しさを選んで織り込んで
 ひと柄できるまで行きかえり五十本
 五十の思いが 今 鳥小を作る
 翔びたつか鳥小
 女たちの思いをのせて
 翔びたたぬか鳥小
 女たちの思いをよそに
 翔びたてぬか鳥小
 女たちの思いの重さに

 翔びたてば鳥小
 その時島は鳥になる


表題の「鳥」の字には、「とういぐわー」というルビが振られています。
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この仮名遣いには作者のこだわりがあるのでしょうか。たとえそうだとしても、やっぱりウチナーグチを正しく残していくためには、表記も大きな問題であると、あらためて思うのでした。

tag: 沖縄_うちなーぐち.【うちなーぐち講座】  楽天市場  #C・W・KYOKO  ふじたあさや 

いわゆる「沖縄の3母音」について再び

いわゆる「沖縄の3母音」について、今まで時々書いてきました。何度も言いますが、沖縄語には[a]と[i]と[u]の3母音しかないというのは間違いです。それについては特に下記の記事をお読みください。
 ⇒http://lince.jp/hito/au-oo-uu…

今日は、「沖縄の3母音」というステレオタイプっぽい通説の問題点についてお話したいと思います。

確かにウチナーグチには、[e]と[o]の短母音は極めて少ないということは事実です。また沖縄の言葉が、3母音化という歴史を経てきたことも間違いなさそうです。
ただ、いつごろどのように3母音化が起こったのかは、以前にも書きましたが、正確には分かりません。こうした言語の3母音化という現象は、世界的、歴史的にみて珍しいことではないのですが、日本国の場合、一方に3母音化することのなかった「標準語」というものが存在しているために、それとの比較で、ウチナーグチは日本語の[e]と[o]が、それぞれ[i]と[u]に「訛(なま)った」のだというような印象を生んでいるようです。常に「標準語」を基準にして考えるという発想が、「沖縄は3母音」で、極端な場合は[e]と[i]が欠落したというような思い込みを許している側面もあるのではないのかと思うのです。

長母音を考慮すれば、沖縄語には[e]も[o]も普通にあります。これは、いったん3母音化した後に、その空いた[e]と[o]の席に、別のところから別の音が変化して入ってきたということのようです。
(短母音の[e]と[o]も、その数は極めて少ないが存在します。)

さらに沖縄語の母音は、実は「3母音」どころではなく、声門破裂音などの半母音まで考えれば、日本語より遥かに複雑なのです。日本語を使っている我々が、そうした音を聞き分けることは不可能です。なぜならば聞き分ける必要がないから。(その理由については以前の記事「沖縄語の音韻講座プロローグ」をお読みください。)だから我々は、日本語と比較して、沖縄語に不足しているものしか見ないし、見えないのです。日本語の岸から、対岸の沖縄語を眺めている限り、日本語の方に不足しているものの方は、なかなか見えてきません。ところが対岸に渡って沖縄語を身近に触れたとき、はじめてウチナーグチの音韻の豊富さを知ることができ、むしろ「日本語」が「不足」しているのだということを知るのです。
(具体的な事例については、ウチナーグチ音韻講座などで、おいおいお伝えしていきたいと思っています。)

「沖縄語は3母音」なのではなく、「3母音化」を経験した言語であるということは確かで、そしてそれが、ウチナーグチの「色あい」に大きく影響していることも事実です。しかし、それがあたかも沖縄語が日本語に較べて音の種類が少ないというような印象を生む原因になっているとしたら、それは間違いです。実は逆で、何度も言いますが、音韻に関しては、沖縄語のほうが、はるかに「標準語」よりも豊かなのです。
どうか過去の記事も、併せてお読みくだされば幸いです。
(余談ですが、世界の言語を見渡すと、日本語は極めて音韻の少ない言語だということが分かります。しかし、音韻が多いのと少ないのと、どちらが優れた言語かということは、一概に言えるものではありません。そのことはいずれまた。)

例えばです。「言葉(ことば)」という単語は、沖縄では「くとぅば」と言いますが、これはいつからそうなのでしょうか。古来沖縄に「ことば」という単語があって、それが3母音化して「くとぅば」という発音に変わっていったのでしょうか。あるいは、既に短母音が3母音的であるという沖縄の音韻体系が確立された後に、「ことば」という単語が外来語として入ってきて、それが沖縄の音韻体系にはめ込められたことによって「くとぅば」と変化したのでしょうか。
しかし、それはどうでもいいことだといえるのかもしれません。「くとぅば」という言葉が、その出自を辿れないほどにも昔から、沖縄で「くとぅば」と発音されて使われていたのならば、それはもう沖縄語なのです。「ことば」が「くとぅば」に変わったというをことさらに主張するとするならば、その基底には、日本語が沖縄語の上位言語であるという認識が隠されているのかもしれません。
「ことば」と「くとぅば」は、同等な言語の、それぞれ別の単語であっていいのです。

そこで、僕は船津好明さんに、次のような質問をしてみました。
「元来沖縄にはなかった言葉をウチナーグチを喋る中で使おうとするとき、たとえば『パソコン』は『パスクン』と言うべきなのでしょうか」
それに対する船津さんのお答えは、結論から言うと、「パソコン」は「パソコン」のママでいいのではないかということでした。仮に[e]は[i]に、[o]は[u]に言い替えて発音するということを許してしまうと、例えば「猫」ですが、沖縄では「マヤー」という別の言葉があるのに、それを使わずに「ねこ」を「にく」といって済ましてしまうというような現象が起こり始めて、残すべきウチナーグチが失われていきかねない、それは避けなければという理由をあげていらっしゃいました。

この日は、船津さんと國吉さんと、帰りの電車でも、話は尽きることがなかったのでした。
ちょっと長くなったので、重要な告知は後日にしましょうね。

それから【補足】ですが……
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tag: 三母音  沖縄_うちなーぐち.【うちなーぐち講座】  #大崎の沖縄語を話す会 

久々の“沖縄語を話す会”うちなーぐち講座《5》【形容詞の否定】【新沖縄文字】

“沖縄語を話す会”の今日の課題は形容詞の否定。
「暑い」=「暑(あち)さん」/「暑くはない」=「暑(あち)こーねん」
「遠い」=「遠(とぅー)さん」/「遠くはない」=「遠(とぅー)こーねん」
「旨い」=「旨(まー)さん」/「旨くはない」=「旨(まー)こーねん」
(ちなみに「まずい」は「にーさん」と言います。)
さて、全てこのパターンでいいのかというと、そうはいかないところがミソなのです。
「淋しい」=「淋(さびっ)さん」/「淋しくない」=「淋(さび)こーねん」
「珍しい」=「珍(みじら)さん」/「珍しくない」=「珍こーねん」
「忙しい」=「忙(いちゅな)さん」/「忙(いちゅな)こーねん」
この「」が入るかどうかに、ルールはありません。まあおおむねヤマトグチで「〜しい」という言葉の場合に「」が入るという傾向があるにはあるようですが、だからといってそれが全てに通用するわけでもないとのこと。例えば、「恐ろしくない」などは「恐(うとぅる)こーねん」でも「恐(うとぅる)こーねん」でもいいらしい。
また「香ばしい」=「香(かば)しい」の場合は「香ばしくはない」=「香(かば)こーねん」で、「」は入りません。
まあ、考えてみれば、日本語も、なんで「美しい」といって「美(うつく)い」と言わないのかなんて聞かれても答えられません。それと同じことですよね。要するに憶えるしかないということです。

さてこうしたお勉強が終ると、今度は「昔物語(んかしむぬがたい)」をみんなで読むのです。
今日のテキストはこれでした。
宮古の来間島のお話「来間(くりま)ぬ祭(まち)りぬ始まい」
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あれ、よく見ると、見慣れない字が。そうなんです。これが船津好明さんが考案された新沖縄文字です。
この文字を使ってブログに文章を書いたり、ワードやメールなどでも使いたいと思えば外字登録をすればいいわけです。
それが入っているのがこのフロッピーです。
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関連記事を読む
(この個々の沖縄文字については、今ちょっと時間が無くて執筆中断している「ウチナーグチの音韻講座」の中で、順次ご紹介していこうと考えています。もし、今すぐに知りたいという方は、下記のサイトへどうぞ。)
沖縄語教育支援文庫
沖縄語を話す会のホームページ

でも、この外字を使ってブログでを書いても、あるいはメールを送っても、読み手や受け手のパソコンにも同じ外字登録指定していなければダメです。
では、ちょっと実験してみましょう。「遠さん」の「とぅーさん」を沖縄文字を使ってブログに書いてみますね。
「?ーさん」
いかがでしょうか、きっと皆さんのPCに外字登録がされていなければ「・ーさん」とか「□ーさん」とか表示されていることだろうと思います。
でも、こちらのPCではこんなふうに見えているのです。

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もし、この外字データご所望の方がいらっしゃいましたならば、問い合わせフォームなどから御連絡ください。
「新沖縄文字の輪」が拡がってくれば、サークル専用ページを作るのも、きっと楽しそうですね。

沖縄語を話す会は、通常16:00で終わりですが、この日は皆さんがお帰りになったあと、國吉眞正さんと船津好明さんと、なんと19:00まで話し込んでしまったのでした。

その話は、また別の記事で。

tag: 宮古  沖縄_うちなーぐち.【うちなーぐち講座】  新沖縄文字  #大崎の沖縄語を話す会 

にんじんしりしりー考

今日の朝食。
ソーキ汁と「にんじんしりしりー」。
ソーキ汁と「にんじんしりしりー」

「にんじんしりしりー」は、先日、県民ショーとかいうテレビ番組で、沖縄の定番として紹介されらしいですね。
普通は卵と炒めるのですが、今日は鶏の卵じゃなくて鱈の卵、要するにタラコをまぶしてみました。

ちなみに「にんじん」はウチナーグチで“ちでーくに”といいます。
だからといって、「ちでーくにしりしりー」と言わなければダメだなどとは申しません。

では、「しりしりー」とは何ぞや。

例えばはなまるマーケットのサイトでは…
「しりしりーって『すりおろす』って意味なんです」
とか書いてある。

また別のサイトでは…
「『しりしりー』というのは、『すりすり』という意味のうちなーぐち(沖縄方言)です。例えば、『誰かの頬にすりすりする』というのは、うちなーぐちでは、 『しりしりする』と言います。」

まあ、目くじら立てるのも大人げないのですが、人参をすりおろしちゃっては「にんじんしりしりー」にはなりません。キンピラの人参より、もっとずっと太く切らなきゃ、あのシャキシャキ感がなくなってしまいます。
沖縄の家庭には大概常備されている「しりしり器」(穴が大きいスライサー)に人参を擦りすけると、確かに「しりしりー」という感じがします。しかし我が家には「しりしり器」が無いので、カミサンは普通に包丁で切ってます。ちょっと時間が余計にかかるというだけのこと。つまり、うちではしりしりーしないで「にんじんしりしりー」を作るのです。
(もはやそれは「にんじんしりしりー」ではない?)

「しりしりー」は「すりすり」のことだというのは間違いないと思いますが、「しりしりする」をウチナーグチだと言ってしまうのはどうなんだろう。元来「〜する」というウチナーグチはない。「〜する」の「する」はウチナーグチ(首里※)では「シュン」なのですから。
では、「しりしりーしゅん」がウチナーグチとして成立するのかどうか、今度の沖縄語を話す会で聞いてきますね。
(※コメントをお読みください。8/2日追記)

日本語は極めて豊かな擬態語を持っているといわれます。ウチナーグチも同様。ウチナーグチと日本語の擬態語や擬音語を列挙比較して、その感覚の違いを考察する研究なんて、すごく興味深そうです。

ともかく「にんじんしりしりー」とは、比較的新しい言葉なのでしょう。だって「しりしり器」のようなスライサーがなければ、この「しりしりー」という感覚は出てこないと思われますから。

いずれにしても「にんじんしりしりー」という言葉は、「うちなーぐち」ではありません。これは「うちなーやまとぐち」の範疇です。

異論歓迎。
また新たな情報があれば、コメントにてご報告します。
(高山正樹)

tag: 沖縄_うちなーぐち.【うちなーぐち講座】  沖縄_沖縄的食物.にんじんしりしりー  沖縄_沖縄的食物.ソーキ