2008年08月09日(土)13時13分
沖縄オーディオブックのはじまりのこと
2008年の春、会社を設立して初めての決算を前にして、高山正樹は考えていました。
自立した一人前の会社にするために、僕らにできることは何なのか。たくさんのことを思い浮かべたけれど、そのほとんどが次々と消えていきました。
その中に、オーディオブックもありました。例えば、著作権切れの作家の作品を朗読してデータ配信するのはどうだろう。でも、誰もが思いつきそうなお手軽な発想、事実、そんなサイトは、もうすでにたくさん存在していました。
高山正樹は思いました。「これも違うな」。
ある日、高山正樹は、ふっと気がついた、高山の書斎には1000冊近い沖縄関係の蔵書があるのです。「これだ!」と高山正樹は思いました。その日のうちに、知り合いのルートを頼って、沖縄タイムスの文芸部長にコンタクトをとりました。「是非とも、大城立裕先生にお会いしたいのですが。」
沖縄に特化したオーディオブックを作る。ならばその始まりは大城立裕氏以外には考えられない・・・
「何をしたいのか、その意図は何か」沖縄タイムス文芸部長の真久田さんから当然の質問が来ました。
即刻、高山正樹は20年間の沖縄との関わりを綴ったメールを送りました。(高山正樹の沖縄との関わりについては、いずれ高山本人が「社長とは呼ばないで」に書くでしょう。)
すぐに真久田さんより、「大城先生が会ってもよいとおっしゃっておられます。直接に電話するように。たった今なら御自宅にいらっしゃいます」と、大城先生の電話番号が書かれた返信メールが届いたのです。
6月8日、初めて大城立裕先生のお宅に伺いました。首里の高台にある、平屋の一見ごく普通のお宅。
奥様が上等な「ちんすこう」を出してくださいました。でも高山は緊張のためか口が渇いていて、もそもそして頂くことができなかったようです。
大城先生が、開口一番おっしゃいました。「又吉くんのほうが、いいんじゃないか」
又吉くんとは、「豚の報い」で芥川賞を取った沖縄の人気作家、又吉栄喜さんのことです。高山正樹は答えました。
「いえ、まず何としても大城先生の作品で始めたいのです。それも『カクテル・パーティー』から、それ以外は、全く考えておりません。」
大城立裕先生は、こちらのお願いを快くOKしてくださいました。次の日、大城先生をご紹介いただいたお礼と、併せて「セロ弾きのゴーシュ」のCD発売を記事にして頂けることになったお礼の御挨拶のため、おもろまちにある沖縄タイムス社まで出向きました。そのついでに、といってはなんなんですが、受付そばのテーブル一個を占拠して、山猫合奏団のコンサートを沖縄でやるための作戦会議をしていたのです。あつかましいはなしですね。でも、受付の二人の女の子は何の文句も言わず、それどころかニコニコ応対してくれて、とっても仲良くなりました。
「二人とも、とび抜けてカワイイ」とは高山正樹の弁。
「あんまりかわいいから、憎らしいから、もう一回画像を貼り付けちゃおう」

そのうち、ついに高山が、受付の又吉さん(左側の彼女。偶然にも作家の又吉さんと同じ苗字)にちょっかいを出したのです。(右側は山田さんです。)
「ねえ、大城立裕さんて知ってる?」
すると彼女は、受付に常備している社員名簿を取りだして調べ始めました。
「違うよ、社員じゃないよ。あれー、大城立裕も知らないの? ここ、確か沖縄タイムス社だよねえ。今日の朝刊にも、大城さんの記事、出てるんだよ」、高山正樹はそう言って、新聞を持ってこさせて、その掲載記事を彼女に指し示したのでした。
ちょっとお昼を食べに出て、また営業会議の続きに戻ってくると、又吉さんが飛んできて、そして高山の手を取って、
「ごめんなさい。大城さんて大変な方だったんですね。うちでも何冊も本を出して頂いていて、大変お世話になってます。上で聞いたんですが、とっても叱られました。これからも色々教えてください。よろしくお願いしまーす。あ、それから、山猫合奏団の記事が出たら、その新聞、5部くらい、とっておきますから。また寄ってくださいね。」
あとでその話を真久田さんに話したら、
「今は、もうそんなもんですよ」と苦笑いしていらっしゃいました。
要するに、会社の顔に必要なのは、大城立裕を知っているかどうかではなくて、かわいいかどうかってことなのか、とは高山正樹の呟きです。
商売的には前途多難かなと、その時は思いました。でも今は違うことを思ってます。今の若い人は、沖縄の若者でも、大城立裕の名前さえ知らない。しかし、だからこそ逆にやりがいがある、やらなきゃならない、そんな気がしてきて、ファイトが湧いてきているのです。
今までは、まだ朗読の収録前だったので、お知らせできなかったことを、今日ついに御報告することができました。
明日、CDに特別収録する大城立裕氏のインタビューを録音して、あとは出来上がりを待つばかりです。また後日ご報告します。
あ、そうだ、ジャケットのデザインがまだ決まってない。大変だ・・・。
※追記:後に開設した「おきなわおーでぃおぶっく」Official_Blogに、この日のことをこの日の日付で投稿しました。
⇒http://ameblo.jp/okinawaaudiobook/entry-10147186221.html
自立した一人前の会社にするために、僕らにできることは何なのか。たくさんのことを思い浮かべたけれど、そのほとんどが次々と消えていきました。
その中に、オーディオブックもありました。例えば、著作権切れの作家の作品を朗読してデータ配信するのはどうだろう。でも、誰もが思いつきそうなお手軽な発想、事実、そんなサイトは、もうすでにたくさん存在していました。
高山正樹は思いました。「これも違うな」。
ある日、高山正樹は、ふっと気がついた、高山の書斎には1000冊近い沖縄関係の蔵書があるのです。「これだ!」と高山正樹は思いました。その日のうちに、知り合いのルートを頼って、沖縄タイムスの文芸部長にコンタクトをとりました。「是非とも、大城立裕先生にお会いしたいのですが。」
沖縄に特化したオーディオブックを作る。ならばその始まりは大城立裕氏以外には考えられない・・・
「何をしたいのか、その意図は何か」沖縄タイムス文芸部長の真久田さんから当然の質問が来ました。
即刻、高山正樹は20年間の沖縄との関わりを綴ったメールを送りました。(高山正樹の沖縄との関わりについては、いずれ高山本人が「社長とは呼ばないで」に書くでしょう。)
すぐに真久田さんより、「大城先生が会ってもよいとおっしゃっておられます。直接に電話するように。たった今なら御自宅にいらっしゃいます」と、大城先生の電話番号が書かれた返信メールが届いたのです。
6月8日、初めて大城立裕先生のお宅に伺いました。首里の高台にある、平屋の一見ごく普通のお宅。
奥様が上等な「ちんすこう」を出してくださいました。でも高山は緊張のためか口が渇いていて、もそもそして頂くことができなかったようです。
大城先生が、開口一番おっしゃいました。「又吉くんのほうが、いいんじゃないか」
又吉くんとは、「豚の報い」で芥川賞を取った沖縄の人気作家、又吉栄喜さんのことです。高山正樹は答えました。
「いえ、まず何としても大城先生の作品で始めたいのです。それも『カクテル・パーティー』から、それ以外は、全く考えておりません。」
大城立裕先生は、こちらのお願いを快くOKしてくださいました。次の日、大城先生をご紹介いただいたお礼と、併せて「セロ弾きのゴーシュ」のCD発売を記事にして頂けることになったお礼の御挨拶のため、おもろまちにある沖縄タイムス社まで出向きました。そのついでに、といってはなんなんですが、受付そばのテーブル一個を占拠して、山猫合奏団のコンサートを沖縄でやるための作戦会議をしていたのです。あつかましいはなしですね。でも、受付の二人の女の子は何の文句も言わず、それどころかニコニコ応対してくれて、とっても仲良くなりました。
「二人とも、とび抜けてカワイイ」とは高山正樹の弁。
「あんまりかわいいから、憎らしいから、もう一回画像を貼り付けちゃおう」

そのうち、ついに高山が、受付の又吉さん(左側の彼女。偶然にも作家の又吉さんと同じ苗字)にちょっかいを出したのです。(右側は山田さんです。)
「ねえ、大城立裕さんて知ってる?」
すると彼女は、受付に常備している社員名簿を取りだして調べ始めました。
「違うよ、社員じゃないよ。あれー、大城立裕も知らないの? ここ、確か沖縄タイムス社だよねえ。今日の朝刊にも、大城さんの記事、出てるんだよ」、高山正樹はそう言って、新聞を持ってこさせて、その掲載記事を彼女に指し示したのでした。
ちょっとお昼を食べに出て、また営業会議の続きに戻ってくると、又吉さんが飛んできて、そして高山の手を取って、
「ごめんなさい。大城さんて大変な方だったんですね。うちでも何冊も本を出して頂いていて、大変お世話になってます。上で聞いたんですが、とっても叱られました。これからも色々教えてください。よろしくお願いしまーす。あ、それから、山猫合奏団の記事が出たら、その新聞、5部くらい、とっておきますから。また寄ってくださいね。」
あとでその話を真久田さんに話したら、
「今は、もうそんなもんですよ」と苦笑いしていらっしゃいました。
要するに、会社の顔に必要なのは、大城立裕を知っているかどうかではなくて、かわいいかどうかってことなのか、とは高山正樹の呟きです。
商売的には前途多難かなと、その時は思いました。でも今は違うことを思ってます。今の若い人は、沖縄の若者でも、大城立裕の名前さえ知らない。しかし、だからこそ逆にやりがいがある、やらなきゃならない、そんな気がしてきて、ファイトが湧いてきているのです。
今までは、まだ朗読の収録前だったので、お知らせできなかったことを、今日ついに御報告することができました。
明日、CDに特別収録する大城立裕氏のインタビューを録音して、あとは出来上がりを待つばかりです。また後日ご報告します。
あ、そうだ、ジャケットのデザインがまだ決まってない。大変だ・・・。
※追記:後に開設した「おきなわおーでぃおぶっく」Official_Blogに、この日のことをこの日の日付で投稿しました。
⇒http://ameblo.jp/okinawaaudiobook/entry-10147186221.html
tag: 又吉千夏 山田早希 又吉栄喜 沖縄タイムス 山猫合奏団 真久田巧 大城立裕 おきなわおーでぃおぶっく カクテル・パーティー
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