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キーフジ・さがり花・銭掛の花

22:00
県庁の脇の道を歩いていたら、なんだか草っぽい強い香り。
そういえば、ここはさがり花の並木、ちょうど花が咲いているところでした。
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夜中にだけ咲く花。
6月の公演の時に踊った「銭掛の花(じんがきのはな)」は、この花の異名です。
(父、宇夫方隆士の書いたパンフレットのイラストもサガリバナです。)
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【沖縄大百科事典】より
「サガリバナ(キーフジ、サワフジ)Barringtonia racemosa Spreng. サガリバナ科の常緑高木。マングローブ林の後背地、河岸・渓谷に生育し、湿生林の優占種となる。花序が穂状につき長く垂れ下がることからこの名がある。花は淡紅色、雄しべはきわめて多く、落花後、水面に浮く」

辞典の説明文が、妙に詩的に聞こえてくるのは何故でしょうか。
でも、名前って、なんだか不思議です。
(宇夫方路・報告、高山正樹・協力)

tag: 沖縄の旅_2009年7月  サガリバナ  沖縄大百科事典 

沖縄のあいさつ【「イチョーミセーミ」と「ヰチョーミシェーミ」】

儀間進さんの「シマクトゥバ」連載20年の特集記事が沖縄タイムスに掲載されたことは先日ご紹介しました。
 ⇒http://mapafter5.blog.fc2.com/blog-entry-1058.html…
今日から、宇夫方路女史は沖縄出張、帰るまでにタイムスに寄って、新聞を貰ってくる予定にしていました。でも、それよりも一足先に、昨日、沖縄語を話す会の國吉さんから記事のコピーを頂くことができました。

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僕たちの大好きな儀間さんの笑顔は、少しも変わらずに健在です。
このインタビュー記事の中で、儀間進さんは、ご自分が日常で触れてきた言葉を連載で取り上げてきたと語っていらっしゃいます。

ちょうど今、儀間さんの初期の文章を読み直しています。そしてたくさんのことをあらためて教えていただいているのですが、今日はその中から、「沖縄のあいさつ語」というエッセイについて、お話ししたいと思います。

このエッセイの中で、儀間さんは、沖縄には毎朝家族同士で挨拶を交わすという習慣がないと述べ、琉球大学の石川清治先生が語られた面白いはなしを紹介しています。

「ある小学校で、お父さん、お母さんに朝のあいさつをしましょう、という事で実践をした。子供たちは家庭で毎朝あいさつをする。一日目、朝起きて、おはようございますと声をかけたら、お母さんがびっくりした。お父さんは眼鏡を落としそうになった。一週間ほどたったある日、お母さんはカシマサヌヒャー(うるさい)と怒鳴った。お父さんはワカトーン(わかっとる)といった。」

さらに儀間さんは、それに続けてこう書くのです。

「よくわかるのだ、そのお父さん、お母さんの気持ちが。(中略)他人行儀な、おはようございますよりも、眼をこすりこすり寝床から台所にやってきて、ごはん まあだ? ときくほうがずっと自然なのだ。」

そして、たしかに沖縄には紋切り型の「おはようございます」のような言葉はないけれど、朝、「オバア」が起きてくれば「ウーキンソーチー(お起きになりましたか)」というし、もし道で目上の人に出会い、その相手が木陰で休んでいれば「イチョーミセーミ(坐っておいでですか)」と声を掛ける、それが沖縄のあいさつなのだと。
(※「イチョーミセーミ」の表記について、コメントを必ずお読みください。)

この話を國吉眞正さんにしました。すると國吉さんも、自らの幼い頃のお話をしてくださったのです。学校へ行く道々、誰かに会えば必ず声を掛けなければならなかった、たとえば畑で芋を収穫している大人がいれば、「お芋をとっているのですか」という、すると相手からは「学校へいくのかい」と返ってくる。もし黙って通り過ぎようものなら、どこどこのあの子は、口もきかずに通り過ぎたといって大変なことになる。だから沖縄では、ちいさな子供でさえ、いつもアンテナを張って、状況を把握して適切な言葉を捜し、臨機応変に対応していたのですよと。
考えてみれば、朝の9時も過ぎているのに、おはようございますではないでしょう。雨が降っているのにgood morningというのもおかしい。状況によって変わる挨拶の言葉、至極あたりまえのことなのかもしれません。

僕自身のことですが、僕は朝起きると、よくカミサンに、「起きたねー」とか、「起きましたか」とか言われます。そう言われた時の感覚をあらためて思い起こしてみるのですが、別段、特に気になったことはありません。しかし、朝はじめて顔を合わせたら、まずおはようございますのあいさつだろう、という風に、もしかしたら心のどこか奥の方で、そう感じていたのかもしれないとも思うのです。

起きたねー?
起きちゃ悪いのか。

坐っておいでですか?
見りゃわかるでしょう。

学校行くのかい?
この時間に小学生がランドセル背負って歩いていれば、それ以外には考えられないだろう……

「ウーキンソーチー」といえば、文化という伝統が背後で支えていてくれるから、その言葉に託された心もちも自然と相手に伝わるのでしょう。しかし、それをそのままヤマトグチに直訳してしまえばギクシャクする、そんな様々な例を、儀間さんは他のエッセイでもたくさん語ってくれています。

今日、この話を、高校3年になる娘にしたのです。

「あのさ、うちのかあちゃんさあ、朝、よく、起きたねーっていうよなあ。」
「うん」
「あれはね……」

娘は大変面白がって僕の話を聞いていました。

「國吉さんに聞いたんだけどね、毎朝母ちゃんが起きたねーっていうのはさ、あれが母ちゃんの挨拶で、あなたたちをちゃんと気遣っているのですよというメッセージなんだ」

僕は洗濯物を干しているカミサンに聞こえるように、わざと大きな声で話をしました。涙腺の甘い母ちゃんは、その時、きっと涙ぐんでいたのかもしれません。
30年近く、ずっと沖縄のことを考え続けていたのに、言葉についてはなぜかとても無頓着でした。もっと若い頃に、今のように言葉に対する具体的な関心が僕の中に生まれていたらと、ちょっと無念な気持ちもあるのです。

そうして儀間さんは、無味乾燥な共通語と、変わっていく沖縄の言葉の双方へ、たっぷりと皮肉を込めて、このエッセイを結んでいます。

「沖縄口のその場その場に応じたあいさつが消えて、どんな場でも一語ですますことのできる、共通語のさよなら、おはように代わったのも無理もないと思う。型があるというのは、何より手軽で便利であるから」

おきなわおーでぃおぶっくの、儀間進のコラムを読むという企画は、今日ご紹介した「沖縄語のあいさつ語」というエッセイから始めることに決定しました。

《追伸》
昨日、楠定憲氏は自分の家だってそれと同じだったと語りました。いつだって親父は、おお起きたかとしか言わなかった。「おはよう」なんて、家庭で交わした憶えがないと。
さて、これは楠さんの家庭に限ったことだったのか、あるいは彼の故郷、四国の香川全体にいえることだったのか、それは定かではありません……

「沖縄の挨拶」その《2》へ

tag: 儀間進  うちなぁぐちフィーリング  うちなーぐち 

西岡さんの島バナナ

楽天市場沖縄mapも、上原さんが頑張って、少しづつではありますが、形になる気配が感じられ始めました。
ところで、この“M.A.P.after5”は、形になる前の企画をお知らせする場所。はじめは、まだ海のものとも山のものともわからないような夢物語でも、ここで御紹介したからこそ実現できたものもあります。夢は、グチャグチャでもいいから、とりあえず大声で語ってみるものなのかもしれませんね。

楽天市場沖縄mapに作者のページができれば、その企画は“M.A.P.after5”から卒業。それからあとは、商品や作者に関する新情報をお伝えする場合、Officialなサイト(楽天市場沖縄map)の各ページを更新するという方法で対応していくことになるでしょう。ちょっと淋しいけれど、それがもともとの目標だったのですから致し方ありません。

今はまだしよんさんのページしかありませんが、それも進化させなければならないし、その他の方々についても、様々な諸問題を早くクリアして、プロフィールやいい写真などが届き次第、新しいページを、どんどんアップしていく予定です。

西岡美幸さんのシーサーも、間もなく販売できそうです。
「西岡美幸ブランド」が“M.A.P.after5”を「卒業」するのも間近です。

とはいえ、新しい作品の夢だとか、ちょっとしたこぼれ話などは、それはやっぱりこのブログの範疇ですよね。

ということで、今日……
18:30
西岡さんと最終的な打合せをしたのですが、な、な、なんと、島バナナを頂きました。
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コロっと太って、とってもおいしそうな島バナナです。

西岡さんは、沖縄に住みはじめたとき、島バナナの苗を買って、以来ずっと庭で育てているのだそうです。
前回お会いした時、高山正樹が国際通りで買った島バナナを大事そうにしていたから、是非ともこの太ったバナナを高山に渡したかったとのこと、高山が聞いたら泣いて喜びそうです。今回収穫したバナナは、とても出来が良いのだそうです。これからもっと大きくなるのもあるのだろうけれど、それが大きくなる頃には涼しくなっちゃうだろうから、今年はこれが最後かも、っておっしゃっていました。

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「重くてすみません、持って帰れるかしら」
「とんでもない、他のものを捨ててでも、このバナナは持って帰ります!高山氏のためにじゃなくて、あたしのために」

今日の、“M.A.P.after5”的な話題はこれだけ。
(宇夫方路の沖縄からの報告、高山正樹代筆)

tag: 楽天市場  沖縄の旅_2009年7月  西岡美幸  島バナナ