2018年02月03日(土)09時17分
キタコマ映画祭2018ファイナル「サルサとチャンプルー」
キタコマ沖縄映画祭2018 追加プログラム②
そして、その先へ・・・
「サルサとチャンプルー Cuba/Okinawa」
(ドキュメンタリー 100分/2007年)監督:波多野哲朗
混淆と熔解
映画祭とはおもしろいものである。およそたった10日間だが、どの映画も1回目と2回目の上映では、その印象が違う。どうやら自分の中で作品たちとの関係が深化していくらしい。「喋りすぎる実行委員長」と顰蹙を買っているが、だから一回目と二回目と話すことが違う。
さて、この「サルサとチャンプルー」、上映決定したのは映画祭のスケジュールを確定した直後のこと、次回の沖縄映画祭まで我慢して待つことも出来たのだろうが、どうしてもやりたかった。なので無理やり追加上映枠のファイナルプログラムにねじ込んだ。
波多野哲朗監督から届いた資料に、こんな一文がある。
「キューバ移民は、日系としてのアイデンティティが弱く、独自のコミュニティを形成することがなかった。このことが、移民研究一般ではとかくマイナス的な評価を受ける。しかし、日系キューバ移民の現地文化への溶解度をかえって高く評価し、歴史の闇に埋没する離散者たち、ディアスポラの存在に照明をあてる」
ディアスポラとは「撒き散らされている者」、ギリシャ語に由来する言葉。ヘブライ語ではガルート、それは「追放」を意味する。例えばユダヤ人でいえば、パレスチナ以外の地に移り住んでいた人々をさす。難民とディアスポラの違いは、難民が帰還を「期待されている」 のに対し、ディアスポラは離散先で定着している者のである。そこで混淆し、溶解しながら。
今、僕の脳みその中は混濁している。その混濁にワクワクしている。自分の固定観念を打ち砕いてくれそうなものに出会うといつもそうなる。混濁はそのうち混淆くらいに落ち着き、僕はそこからいつも思考を再構築しはじめる。
映画祭で、福島を題材にした作品を取り上げるのはしばらく控えようと数年前に決めた。だが一本だけやった作品がある。それは
「土徳流離」という作品だった。何故その作品だけは上映したのか、その理由を周りには「ただ原発の危険や善悪を云々する映画ではないから」と説明していたが、嘘ではないのだが、実は別の理由があった。今ひっそりとここだけで白状すれば、「土徳流離」で取り上げられる北陸や新潟から相馬に移り住んだ人々に、福島から避難する人たちを、僕は重ね合わせていた。
帰らないという選択を支える哲学的な思索。
しかし、なかなかそれは口に出せなかった。上映後の挨拶で、少し語った記憶はあるのだが。
僕は、沖縄に対して、沖縄に回帰すべきだと、無意識に「期待」しているのではないか。いわば勝手なレッテル。そのことを、今回「カタブイ 沖縄に生きる」と出会って考え始め、少しずつ深化を始めている。行先がいずこにあるのか、まだ何も見えないのだが。そのこととの奇妙な連関…
やめておこう。今回の沖縄映画祭2018最後の作品、まだ一度も上映していないのだ。まだまだこの作品との付き合いが浅すぎる。出会ったばかりなのだ。見終わって、僕自身が上映後の今回最後のご挨拶でいったい何を語ることになるのか、自分でも予想がつかず、なんとも楽しみなのである。お客様にとっては、きっと迷惑なはなしだろうけれど。
ちっとも映画の説明をしていない。実行委員長の気持ちばかりが先走っている。
というわけで、やはり監督が送って下さった資料をスキャンして、画像を貼り付けます。申し訳ない、間もなく今日の上映会が始まります。その準備で、自前の言葉で映画の説明をする余裕がなくなりました。ともかく早く告知をして、少しでも多くの方に来ていただきたいということで、どうかお許しください。

日時:2月5日(月)19:00~
会場:M.A.P.
【チケット料金】
前売り 1,000円(当日1,200円)
学生及び75歳以上 前売り 500円(当日700円)
※受付で学生証・保険証等を提示してください。
※ご予約を頂けば、前売り扱いにて、チケットを受付にお取り置きいたします。
11枚綴り 10,000円(1000円券×11枚)
⇒オフィシャルサイトのチケット購入ページ
電話でのご予約・お問合せ:03-3489-2246(M.A.P.)
⇒Facebookのイベントへ
⇒総合案内記事へ
そして、その先へ・・・
「サルサとチャンプルー Cuba/Okinawa」
(ドキュメンタリー 100分/2007年)監督:波多野哲朗
混淆と熔解
映画祭とはおもしろいものである。およそたった10日間だが、どの映画も1回目と2回目の上映では、その印象が違う。どうやら自分の中で作品たちとの関係が深化していくらしい。「喋りすぎる実行委員長」と顰蹙を買っているが、だから一回目と二回目と話すことが違う。
さて、この「サルサとチャンプルー」、上映決定したのは映画祭のスケジュールを確定した直後のこと、次回の沖縄映画祭まで我慢して待つことも出来たのだろうが、どうしてもやりたかった。なので無理やり追加上映枠のファイナルプログラムにねじ込んだ。
波多野哲朗監督から届いた資料に、こんな一文がある。
「キューバ移民は、日系としてのアイデンティティが弱く、独自のコミュニティを形成することがなかった。このことが、移民研究一般ではとかくマイナス的な評価を受ける。しかし、日系キューバ移民の現地文化への溶解度をかえって高く評価し、歴史の闇に埋没する離散者たち、ディアスポラの存在に照明をあてる」
ディアスポラとは「撒き散らされている者」、ギリシャ語に由来する言葉。ヘブライ語ではガルート、それは「追放」を意味する。例えばユダヤ人でいえば、パレスチナ以外の地に移り住んでいた人々をさす。難民とディアスポラの違いは、難民が帰還を「期待されている」 のに対し、ディアスポラは離散先で定着している者のである。そこで混淆し、溶解しながら。
今、僕の脳みその中は混濁している。その混濁にワクワクしている。自分の固定観念を打ち砕いてくれそうなものに出会うといつもそうなる。混濁はそのうち混淆くらいに落ち着き、僕はそこからいつも思考を再構築しはじめる。
映画祭で、福島を題材にした作品を取り上げるのはしばらく控えようと数年前に決めた。だが一本だけやった作品がある。それは
「土徳流離」という作品だった。何故その作品だけは上映したのか、その理由を周りには「ただ原発の危険や善悪を云々する映画ではないから」と説明していたが、嘘ではないのだが、実は別の理由があった。今ひっそりとここだけで白状すれば、「土徳流離」で取り上げられる北陸や新潟から相馬に移り住んだ人々に、福島から避難する人たちを、僕は重ね合わせていた。
帰らないという選択を支える哲学的な思索。
しかし、なかなかそれは口に出せなかった。上映後の挨拶で、少し語った記憶はあるのだが。
僕は、沖縄に対して、沖縄に回帰すべきだと、無意識に「期待」しているのではないか。いわば勝手なレッテル。そのことを、今回「カタブイ 沖縄に生きる」と出会って考え始め、少しずつ深化を始めている。行先がいずこにあるのか、まだ何も見えないのだが。そのこととの奇妙な連関…
やめておこう。今回の沖縄映画祭2018最後の作品、まだ一度も上映していないのだ。まだまだこの作品との付き合いが浅すぎる。出会ったばかりなのだ。見終わって、僕自身が上映後の今回最後のご挨拶でいったい何を語ることになるのか、自分でも予想がつかず、なんとも楽しみなのである。お客様にとっては、きっと迷惑なはなしだろうけれど。
(高山正樹)
ちっとも映画の説明をしていない。実行委員長の気持ちばかりが先走っている。
というわけで、やはり監督が送って下さった資料をスキャンして、画像を貼り付けます。申し訳ない、間もなく今日の上映会が始まります。その準備で、自前の言葉で映画の説明をする余裕がなくなりました。ともかく早く告知をして、少しでも多くの方に来ていただきたいということで、どうかお許しください。

日時:2月5日(月)19:00~
会場:M.A.P.
【チケット料金】
前売り 1,000円(当日1,200円)
学生及び75歳以上 前売り 500円(当日700円)
※受付で学生証・保険証等を提示してください。
※ご予約を頂けば、前売り扱いにて、チケットを受付にお取り置きいたします。
11枚綴り 10,000円(1000円券×11枚)
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