2009年08月01日(土)23時25分
“〜すん”か、“〜しゅん”か
【以下、無駄な前書き】(※お急ぎの方は読み飛ばしてください。)
ブログならブログらしく、その日のことはその日の内にアップしたいものです。
しかし、M.A.P.after5の記事は、情報の正確性をきちんと検証して、できるだけ掘り下げた内容のものでありたいと考えているので、なかなか「早さ」を実現できずにいます。
そこで、ともかく伝えたい情報を盛り込むことさえできれば、「てにおは」や文体の良し悪しには目をつぶって、とりあえず公開してしまうという、なかなか微妙な舵取りをやっています。
というわけで(それに加えて担当する高山正樹が多忙なため)、アップした記事に目を通す暇さえなく出掛けてしまうという場合もよくあって、お恥ずかしいのですが、しばらくして時間の空いた時に改めて読み直し、誤字脱字を発見したり、説明不足や分かりにくい箇所を直したりしているのです。記事によっては、何度も推敲を繰り返したり、極端な場合は半年後に文章の手直しをするというようなこともあります。
(ああ、新聞記者はつくづく偉いと尊敬いたします。)
どうぞ新しい記事で、分かりにくかったりおかしいなとお感じになった場合は、よろしければ数日後にもう一度読み直しなどしてくだされば嬉しいです。特に、記事内で別記事にリンクを貼っているような場合、そのリンク先の記事は、若干の修正をしていることも多いので、是非併せてお読みください。
また、新しい関連情報などがあったり、まれに情報に間違いを発見してそれを修正したりした場合は、古い記事でもコメントにて補足していますので、それについては、サイドバーの新規コメント欄からお読みくだされば幸いです。さらには、昔の記事にでも間違いなど発見された方は、どうかコメントなどでご指摘くださいませ。
(前書きおしまい)
閑話休題。
「にんじんしりしりー」の記事を書いた時の宿題です。
(下記記事のコメントを参照してください。)
⇒http://lince.jp/hito/sirisiri…
「〜する」を首里の言葉にしたとき、「〜しゅん」が正しいのでしょうか、それとも「〜すん」でいいのでしょうか。
(※実は「沖縄語辞典」では明確に「su(ス)」と「sju(シュ)」の区別があり、「〜する」にあたる沖縄(首里)語は「〜sjuN」だと説明されているのです。)
この質問に、沖縄語を話す会の國吉眞正さんから、次のようなお答えを頂きました。
「『すん』です。[suN][sjuN]も『すん』と発音しています。例えば『首里』のことを[sjui]と書いていますが、『すい』と発音されています。しかし首里の方で『しゅい』に近い発音をしている方が居ました。その辺は私も勉強しなければならないと思っています。現状『しゅ』と『す』、『さ』『しゃ』は地域差で許容範囲として、私は全部受入れております。」
また本日、比嘉光龍さんからは次のようなメッセージが届きました。
「はい、うちなぁんいっぺー、暑さいびーん。
『しゅん』ですが、これは現代ではすべて『すん』となります。
首里言葉には『しゃ、しゅ、しょ』という発音がありますが、それは現代ではすっかり失われてしまい、すべて『しゃ』が『さ』、『しゅ』が『す』、『しょ』が『そ』と発音されるようになっています。
例をあげると、『しゃんぴん茶』というのが本来の首里言葉の発音ですが、現在では当の首里ん人も『さんぴん茶』と発音します。私が調べる限りでは、現在100歳以上の首里ん人ならば『しゃんぴん茶』という発音していたと言えると思います。私の首里言葉の先生である首里金城町生まれで士族の系統でいらっしゃる93歳のおばあさんは『さんぴん茶』と発音します。その方のご両親、また祖父母はどうでしたか?と尋ねても『さんぴん茶』としか聞いていないとのこと。『しゃ』の発音、また『しゅ、しょ』も、93歳の首里の方が聞いていないというのですから、相当昔に消えてしまった発音だと言えるでしょう。
また『しゅい』と発音するのが本来『首里』のことなんです。しかし、これも、とっくの昔に消えてしまっていて、当の首里ん人は『すい』と発音します。
『しょ』ですが、『しょーぐゎち』と本来発音するのが『正月』で、今では『そーぐゎち』と言うのが一般的です。
『しゃ、しゅ、しょ』ですが、消えたと言っても、琉球古典音楽や組踊には残っています。組踊は国立劇場が出来たせいか、わりと、この古来の発音は残して演じられますが、古典音楽は、私に言わせれば…(後略)」
この後は、また別の話題の時に。今は秘密にしておきましょう。
光龍さん、いつもいつも大変ご丁寧に説明くださり、心より感謝しております。
「す」が「しゅ」に変わる言語学的現象を「口蓋化」といって、ウチナーグチの特徴でもあります。これは「沖縄語の音韻講座」の中で詳しく説明したいと思います。
⇒ダイワハウチュのこと
しかし、なぜ首里の言葉において「しゅ」が「す」に戻ったのか。これについては、只今研究中、「口蓋化」の説明時に研究成果が出ていればいいのですが。
ブログならブログらしく、その日のことはその日の内にアップしたいものです。
しかし、M.A.P.after5の記事は、情報の正確性をきちんと検証して、できるだけ掘り下げた内容のものでありたいと考えているので、なかなか「早さ」を実現できずにいます。
そこで、ともかく伝えたい情報を盛り込むことさえできれば、「てにおは」や文体の良し悪しには目をつぶって、とりあえず公開してしまうという、なかなか微妙な舵取りをやっています。
というわけで(それに加えて担当する高山正樹が多忙なため)、アップした記事に目を通す暇さえなく出掛けてしまうという場合もよくあって、お恥ずかしいのですが、しばらくして時間の空いた時に改めて読み直し、誤字脱字を発見したり、説明不足や分かりにくい箇所を直したりしているのです。記事によっては、何度も推敲を繰り返したり、極端な場合は半年後に文章の手直しをするというようなこともあります。
(ああ、新聞記者はつくづく偉いと尊敬いたします。)
どうぞ新しい記事で、分かりにくかったりおかしいなとお感じになった場合は、よろしければ数日後にもう一度読み直しなどしてくだされば嬉しいです。特に、記事内で別記事にリンクを貼っているような場合、そのリンク先の記事は、若干の修正をしていることも多いので、是非併せてお読みください。
また、新しい関連情報などがあったり、まれに情報に間違いを発見してそれを修正したりした場合は、古い記事でもコメントにて補足していますので、それについては、サイドバーの新規コメント欄からお読みくだされば幸いです。さらには、昔の記事にでも間違いなど発見された方は、どうかコメントなどでご指摘くださいませ。
(前書きおしまい)
閑話休題。
「にんじんしりしりー」の記事を書いた時の宿題です。
(下記記事のコメントを参照してください。)
⇒http://lince.jp/hito/sirisiri…
「〜する」を首里の言葉にしたとき、「〜しゅん」が正しいのでしょうか、それとも「〜すん」でいいのでしょうか。
(※実は「沖縄語辞典」では明確に「su(ス)」と「sju(シュ)」の区別があり、「〜する」にあたる沖縄(首里)語は「〜sjuN」だと説明されているのです。)
この質問に、沖縄語を話す会の國吉眞正さんから、次のようなお答えを頂きました。
「『すん』です。[suN][sjuN]も『すん』と発音しています。例えば『首里』のことを[sjui]と書いていますが、『すい』と発音されています。しかし首里の方で『しゅい』に近い発音をしている方が居ました。その辺は私も勉強しなければならないと思っています。現状『しゅ』と『す』、『さ』『しゃ』は地域差で許容範囲として、私は全部受入れております。」
また本日、比嘉光龍さんからは次のようなメッセージが届きました。
「はい、うちなぁんいっぺー、暑さいびーん。
『しゅん』ですが、これは現代ではすべて『すん』となります。
首里言葉には『しゃ、しゅ、しょ』という発音がありますが、それは現代ではすっかり失われてしまい、すべて『しゃ』が『さ』、『しゅ』が『す』、『しょ』が『そ』と発音されるようになっています。
例をあげると、『しゃんぴん茶』というのが本来の首里言葉の発音ですが、現在では当の首里ん人も『さんぴん茶』と発音します。私が調べる限りでは、現在100歳以上の首里ん人ならば『しゃんぴん茶』という発音していたと言えると思います。私の首里言葉の先生である首里金城町生まれで士族の系統でいらっしゃる93歳のおばあさんは『さんぴん茶』と発音します。その方のご両親、また祖父母はどうでしたか?と尋ねても『さんぴん茶』としか聞いていないとのこと。『しゃ』の発音、また『しゅ、しょ』も、93歳の首里の方が聞いていないというのですから、相当昔に消えてしまった発音だと言えるでしょう。
また『しゅい』と発音するのが本来『首里』のことなんです。しかし、これも、とっくの昔に消えてしまっていて、当の首里ん人は『すい』と発音します。
『しょ』ですが、『しょーぐゎち』と本来発音するのが『正月』で、今では『そーぐゎち』と言うのが一般的です。
『しゃ、しゅ、しょ』ですが、消えたと言っても、琉球古典音楽や組踊には残っています。組踊は国立劇場が出来たせいか、わりと、この古来の発音は残して演じられますが、古典音楽は、私に言わせれば…(後略)」
この後は、また別の話題の時に。今は秘密にしておきましょう。
光龍さん、いつもいつも大変ご丁寧に説明くださり、心より感謝しております。
「す」が「しゅ」に変わる言語学的現象を「口蓋化」といって、ウチナーグチの特徴でもあります。これは「沖縄語の音韻講座」の中で詳しく説明したいと思います。
⇒ダイワハウチュのこと
しかし、なぜ首里の言葉において「しゅ」が「す」に戻ったのか。これについては、只今研究中、「口蓋化」の説明時に研究成果が出ていればいいのですが。
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