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炭道楽“とり井”と素敵な父子

喜多見のメインストリートを、北へ向かうと、右手に魯園菜館、はん家、その先の左には球屋とキャッツアイ、さらにその先、突き当たる直前の左側に、数ヶ月前にリニューアルした焼き鳥屋さん“とり井”があります。
 ⇒〈参考〉喜多見飲み処情報のページ

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実は、リニューアルした直後に一度来たことがあります。その時の印象は、外で修行していた息子さんが帰ってきて、息子さん好みの店に変えたけれど、新しいお洒落がまだまだ板についていないという感じでした。お客さんも息子さんのお友達のようにも思われたし、特に傍らで静かに焼き鳥を焼くお父様は、着せられた真っ白な仕事着に、何だかとまどっていらしたように見えたのです。お母様はとても気さくな方で、でもやっぱりごく普通の居酒屋さんの方が似合うような雰囲気で、できればリニューアルする前に来てみたかったなあと、勝手なことを思いながら店を出たという憶えがあります。

それからあと、深夜お店の前を通ったりすると、お父様がひとり後片付けをしていらっしゃったりして、ずっとこのお父様のことが気になっていたのでした。

昨晩、ちょっと時間に余裕ができたので、新規居酒屋訪問ということで、久しぶりに“とり井”へお邪魔してみることにしました。若干の不安を抱えながら。
お店は混んでいました。でも前回のように、お店の方の知り合いという感じはありません。もちろん、前回来た時だって知り合いのお客さんではなかったのかもしれないのですが、一見さんにそう思われてしまうかどうかが問題なのです。いったい何が違うのでしょう、だから今日は、すっとカウンターに座ることができました。

不思議なものです。そうすると、料理をきちんと味わうこともできます。
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うん、おいしい。

波照間の泡盛がありました。あの花酒ではなく、「海波」というにごりの泡盛です。
カメラを構えると、息子さんは気をきかしてサッと身を引こうとしたので……
「そのまま入っててよ」
そうして撮った画像です。
海波

「実はいっぺん来たことがあるんだけどね」
「憶えてますよ。開店したばかりのころですよね」
「へえ、憶えてるんだ」
「時々遅い時間にこの前を通られますよね。ずいぶんおそくまで仕事されてるんだなあって思ってました」
「たいしたもんだな」

息子さんがちょっと奥へ行かれたとき、お父様に声を掛けました。
「自慢の息子さんですか」
「もう時代が違いますから、息子の考えに任せてます」
「炭火にしたのも息子さんのアイディアですか」
「炭がこんなに熱いものだとは、もうびっしょりですよ」
「ダイエットになりますね」
そこへ戻ってきた息子さんが
「だめですよ。仕事の後、夜遅く食べちゃうんですから」

もしかしたら、お父様としたら、ほんとうはまだまだ納得のいかないこともあるのかもしれません。でもこのふたりなら、それを乗り越えて、もう一年もしたら、とってもいいコンビになるんだろうなあと、とっても楽しみになってきました。
きっと、このお父様とハナシがしたくていらっしゃるお客様もいるに違いない。だって、やっぱり人間としての年季が違うのだから。そのことに、息子さんがいつでも、いつまでも気配りできていれば、“とり井”は絶対に素敵なお店になります。

「おふたりの写真を撮らせてくださいよ」
躊躇したのは息子さんでした。なんでも、ふたりで写真を撮ったことなんか、もう何年もないらしい。なんだか恥ずかしいなあなんて。
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大丈夫、ふたりとも素敵なお顔です。特に息子さん、今日一番の顔ですよ。開店間際の、あの頃の顔とは全く違う。

ちなみに、お父様のお名前は道夫さん。で、息子さんのお名前が道さん。「道」と書いて「とおる」と読む。

「早く嫁さん貰って欲しいんですよ」
でもそれって、自分の名前から「夫」の文字を抜いたお父さんの責任じゃないかしらん? なんてね。

今日は、最初に焼き鳥(豚)をたっぷり食べちゃったから、道君自慢の料理をあんまり頂けませんでした。また来ます。そしてその時は、ちゃんと食べて紹介しますね。

というわけで、親子にまつわる過去の記事を今日アップしました。
道君、その記事も、どうか読んでみてください。
 ⇒詩画集と「房指輪」の謎解き(8/23)
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tag: 喜多見_焼鳥.とり井  泡盛.海波 

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