2009年09月21日(月)23時43分
全てをチューニング
チューニング。

調絃(チンダミ)という。
最近、チェロの練習の合間に弾きたくなるのです。
チェロを始めた頃、おそれを知らない僕は、大島純くん先生にこんなことを言いました。
「フレットのない楽器ってかわいいね」


今までギターしか弾いたことのない僕には、チェロの微妙な音程が自分の手でどうにでもなるという感じが、とっても自由で新鮮で、嬉しかったのです。そういえば小学生の時、リコーダーを強く吹いたり弱く吹いたりすると、音程が上下するのを、ひとりでひっそりと楽しんでいた時の感覚を思い出したりもしていたのでした。
すると大島先生曰く
「フレットがない、それが憎たらしいんですよ」
さて、今回はチェロを人前で弾かなければならないのです。ひっそりとひとり遊びしているわけにはいかない。舞台で、いきなり出した音が狂っていたのではまずいでしょう。だから、押さえる指の位置が分かるように、小さなシールを貼って間近に迫った舞台に備えていました。
ところが、新型インフルエンザの影響で、公演が一ヶ月延期。
いたしかたありません。ならばこの突然の災難をむしろ幸いと考えて、あらためてチェロに向かうことにしました。
そうしたら、途端にチェロに貼ったシールが気になりだした。確かにシールの位置に指を置いているのに、曲それぞれの、そのまたそれぞれの箇所によって、やけに高く感じたり、低く感じたりするようになってきたのです。
最初は、チューニングが狂っているのかなとも思ったのですが、どうもそうではないみたい。
(ちなみに、チェロのチューニングは極めて単純なのですが、しかしなぜかとっても難しいのです。)
そこで、自分の耳を信じて、思い切ってシールを剥がす事にしたのです。
それ以来、音程がとても気になって、僕の頭の中で鳴っている音を出す位置に、左手の指がどうしてもスッと行かなくて、そのことにひどく苛立ち、とってもスランプなのです。
(初心者がスランプなんて、10年早いですね。)
先日の岡山ツアー最後の日、大島氏と白石氏と奥山さんとに、この感覚の話をしてみたのです。そうしたら、彼ら音楽家たちは、何の不思議もないという顔をして、「気がついちゃったの」だって。
要するに、下降してくる時と、上昇していく時の音は違う。また、「ソ」のシャープは「ラ」のフラットより高い。あるいは、コブシみたいな装飾音ぽい半音のズレは小さめ、といことらしい。
(というふうに僕は感じているのですが、それで合ってるのかなあ?)
ピアノという楽器はそれができない。でもそれを錯覚させるように弾くのだ、それが出来るのがプロのピアニストというものなのだとか。
ああ、50歳にして、えらいところへ足を踏み入れてしまいました。
大島先生の言った「それが憎たらしい」の意味を、ほんの少しだけ理解しはじめている今日この頃なのです。

ようやく決定稿に。これも一種のチューニング……?
⇒La_Portのネオンに騙されて(9/9)
⇒ 新城亘さんと飲みました!(9/10)
調絃(チンダミ)という。
最近、チェロの練習の合間に弾きたくなるのです。
チェロを始めた頃、おそれを知らない僕は、大島純くん先生にこんなことを言いました。
「フレットのない楽器ってかわいいね」
今までギターしか弾いたことのない僕には、チェロの微妙な音程が自分の手でどうにでもなるという感じが、とっても自由で新鮮で、嬉しかったのです。そういえば小学生の時、リコーダーを強く吹いたり弱く吹いたりすると、音程が上下するのを、ひとりでひっそりと楽しんでいた時の感覚を思い出したりもしていたのでした。
すると大島先生曰く
「フレットがない、それが憎たらしいんですよ」
さて、今回はチェロを人前で弾かなければならないのです。ひっそりとひとり遊びしているわけにはいかない。舞台で、いきなり出した音が狂っていたのではまずいでしょう。だから、押さえる指の位置が分かるように、小さなシールを貼って間近に迫った舞台に備えていました。
ところが、新型インフルエンザの影響で、公演が一ヶ月延期。
いたしかたありません。ならばこの突然の災難をむしろ幸いと考えて、あらためてチェロに向かうことにしました。
そうしたら、途端にチェロに貼ったシールが気になりだした。確かにシールの位置に指を置いているのに、曲それぞれの、そのまたそれぞれの箇所によって、やけに高く感じたり、低く感じたりするようになってきたのです。
最初は、チューニングが狂っているのかなとも思ったのですが、どうもそうではないみたい。
(ちなみに、チェロのチューニングは極めて単純なのですが、しかしなぜかとっても難しいのです。)
そこで、自分の耳を信じて、思い切ってシールを剥がす事にしたのです。
それ以来、音程がとても気になって、僕の頭の中で鳴っている音を出す位置に、左手の指がどうしてもスッと行かなくて、そのことにひどく苛立ち、とってもスランプなのです。
(初心者がスランプなんて、10年早いですね。)
先日の岡山ツアー最後の日、大島氏と白石氏と奥山さんとに、この感覚の話をしてみたのです。そうしたら、彼ら音楽家たちは、何の不思議もないという顔をして、「気がついちゃったの」だって。
要するに、下降してくる時と、上昇していく時の音は違う。また、「ソ」のシャープは「ラ」のフラットより高い。あるいは、コブシみたいな装飾音ぽい半音のズレは小さめ、といことらしい。
(というふうに僕は感じているのですが、それで合ってるのかなあ?)
ピアノという楽器はそれができない。でもそれを錯覚させるように弾くのだ、それが出来るのがプロのピアニストというものなのだとか。
ああ、50歳にして、えらいところへ足を踏み入れてしまいました。
大島先生の言った「それが憎たらしい」の意味を、ほんの少しだけ理解しはじめている今日この頃なのです。
ようやく決定稿に。これも一種のチューニング……?
⇒La_Portのネオンに騙されて(9/9)
⇒ 新城亘さんと飲みました!(9/10)
- 関連記事
-
-
どわん、びびっち、すっちゃかは・・・ 2010/01/28
-
食べ過ぎると飛べなくなる 2010/01/25
-
まだ書けていない記事があります・・・ 2010/01/15
-
何も変わっていない 2009/12/24
-
小指の異変 2009/12/17
-
てげてげ 2009/12/12
-
手作りのポーク卵のおにぎり 2009/10/11
-
全てをチューニング 2009/09/21
-
午前中は書斎にて【泡波】と【宮之鶴】 2009/09/10
-
まったりと三線 2009/09/07
-
静寂の中の、未整理な音 2009/08/14
-
チェロ修理 2009/08/08
-
日々挑戦… 2009/08/05
-
20年前の新聞の切り抜き《朝日新聞、損傷サンゴ捏造事件》 2009/08/04
-
「美しい沖縄の方言」 2009/08/02
-
← 三笑亭夢丸+東京奏楽舎、再始動 | 幸区の敬老会で琉球舞踊 →
コメントの投稿
Track Back
ご案内
この新ブログへ引越し作業中です!
(ブログの説明はトップページに)
ページジャンプ
全1ページ中
1ページ目
1ページ目
カレンダー(月別)
月別アーカイブ
plugin by カスタムテンプレート
最新記事(+webslice)
新着コメント+Trackback
NEWコメント<>+-
- 2019-03-16 MAP : 宮沢賢治の“トロメライ”って何?(「音を楽しむ雑記帖」→「宮澤賢治考」)-コメントを転載2
- 2019-03-16 MAP : 宮沢賢治の“トロメライ”って何?(「音を楽しむ雑記帖」→「宮澤賢治考」)-コメントを転載
- 2019-03-16 MAP : 47個のコメントの意味(2006年2月のこと)-コメントも転載しました4
- 2019-03-16 MAP : 47個のコメントの意味(2006年2月のこと)-コメントも転載しました3
- 2019-03-16 MAP : 47個のコメントの意味(2006年2月のこと)-コメントも転載しました2
- 2019-03-16 MAP : 47個のコメントの意味(2006年2月のこと)-コメントも転載しました。
- 2019-03-15 MAP : 神楽坂とCHICAGO-「宮沢賢治考」のコメント2
- 2019-03-15 MAP : 神楽坂とCHICAGO-「宮沢賢治考」のコメント1
- 2019-03-15 MAP : キャッチコピー後日談-サイト振興委員会
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-山猫ブログに頂いたコメント4
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-白石准の返信
- 2019-03-15 高山正樹 : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-高山正樹の返信
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-山猫ブログに頂いたコメント3
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-山猫ブログに頂いたコメント2
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-白石准の返信
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-山猫ブログに頂いたコメント1
- 2019-03-15 MAP : 【田中寺公演】本番と打上げ-山猫ブログへのコメント転載3
- 2019-03-15 MAP : 【田中寺公演】本番と打上げ-山猫ブログへのコメント転載2
- 2019-03-15 MAP : 【田中寺公演】本番と打上げ-山猫ブログへのコメント転載1
- 2019-03-15 MAP : みそかです-山猫ブログのコメントを転載
Trackback
<>
+
-
- 2017-08-06 ひだまりのお話 : 久米明さんにお会いしました。《懐かしい過去たちに囲まれて》-街話§J街通信[95]酒舎かんとりぃ
- 2012-12-31 初老間近のしがない俳優の呟き : (まもなく)-実験は続く…
- 2012-12-10 M.A.P.after5 : 玄羽さんの送別会-沖縄芸人ライブ“ぱんみかす”(そっと内緒に追記して再投稿)
- 2012-11-20 M.A.P.after5 : 体育会系居酒屋-出ないなら出る練習をする
- 2012-11-20 M.A.P.after5 : お久しぶりです浅野さん!-出ないなら出る練習をする
Comment