2009年11月12日(木)23時20分
沖縄語の音韻講座、プロローグ(2)
⇒沖縄語の音韻講座、プロローグ(1)
⇒まず今回の記事に関連する記事を読んでみる
日本語の母音は5つということになっています。
あ(a)・い(i)・う(u)・え(e)・お(o)
それは舌の位置によって決まるということになっています。
《簡単な日本語の母音表》

舌の高さについては、狭い広いというわけ方をする場合もあります。高い方が狭い。そりゃそうかもしれませんね、舌は下あごにくっついているのだから、舌を上げれば口は狭くなるというわけです。
「ということになっています」とか「そうかもしれない」とか、いい加減な言い方で申し訳ありませんが、いいのです。日本語では母音を5つしか区別しないので、その程度のいい加減な分類で十分なのです。
え?「5つしかない」じゃなくて「区別しない」? 妙な言い方ですね?
はい。でもそれでいいのです。これからウチナーグチを考えていく上で、「区別」するしないということが、けっこう重要なことになってくるでしょう。
「区別しない」といった意味を、ちょっと具体的な例を示して説明してみたいと思います。
[く(ku)]を発音する場合と、[す(su)]を発音する場合の母音[u]を、よく較べてみてください。舌の位置が違いませんか。[く(ku)]の場合は確かに後ろですが、[す(su)]の場合はそれよりも前にありませんか?
でも、日本語にとっては、そんなことはどうでもいいのです。日本語の場合は、どちらも「う」、つまりおんなじ「音韻」なのですから。
(※音韻と音素については“音韻講座プロローグ(1)”をお読みください。)
もう一つ。
八代亜紀さんの歌を思い出してみてください。
「雨雨降れ降れもっと降れ(あめあめふれふれもっとふれ)」
「雨(あめ)」の「め」と「降れ(ふれ)」の「れ」の母音[え(e)]が、若干「い(i)」に近くありませんか? でもいいんです。[i]よりは[e]に近いから、日本人はみんな[e]だと思って聞いています。だからそれで何の問題もないのです。
でも、例えば英語ではそうはいきません。これもいろいろ諸説あるのですが、9個の母音というのが分かりやすい。
日本語に近い「イ」と「ウ」と「エ」と「オ」。
それから「イ」と「エ」の中間の音と、「エ」と「ア」の中間の音。
さらには「ア」と「オ」の中間の音で「オ」の口して「ア」を言う。
「オ」と「ウ」の中間の音は口を丸めないで「ウ」を言う。
最後に口をあんまり開けない「ア」。
要するに、八代亜紀さんも、もし英語だったらもう少し気をつけて発音しなくちゃいけないということかもしれませんね。
その他にも、唇を丸くするかしないかのような区別もあります。
そんなわけで、よく目にする、舌の位置と母音の関係を示した図がこれです。
《ちゃんとした母音の図》

左が前舌、右が後舌で喉の奥の方。そして上が高舌。それから同じ場所にふたつあるのは、右側が唇を丸くする音です。
まあ、これ以上詳しい説明はいたしません。音声学一般をやるわけではないのですから。日本語の母音を考えるのなら、最初の簡単な表で十分です。
あれ、「ちゃんとした母音の図」とやらも、母音だけを示してあるんですよねえ。それなのに[y]とか[w]とかがありますけど、これって子音じゃないの?
おお、いいところに気がつきました。でも少々疲れたので今日はここまで。
次回は半母音についてお話ししましょうね。
いよいよ、ウチナーグチの音韻の世界の真髄に近づいていきます。
⇒沖縄語の音韻講座、プロローグ(3)へ
⇒まず今回の記事に関連する記事を読んでみる
日本語の母音は5つということになっています。
あ(a)・い(i)・う(u)・え(e)・お(o)
それは舌の位置によって決まるということになっています。
《簡単な日本語の母音表》

舌の高さについては、狭い広いというわけ方をする場合もあります。高い方が狭い。そりゃそうかもしれませんね、舌は下あごにくっついているのだから、舌を上げれば口は狭くなるというわけです。
「ということになっています」とか「そうかもしれない」とか、いい加減な言い方で申し訳ありませんが、いいのです。日本語では母音を5つしか区別しないので、その程度のいい加減な分類で十分なのです。
え?「5つしかない」じゃなくて「区別しない」? 妙な言い方ですね?
はい。でもそれでいいのです。これからウチナーグチを考えていく上で、「区別」するしないということが、けっこう重要なことになってくるでしょう。
「区別しない」といった意味を、ちょっと具体的な例を示して説明してみたいと思います。
[く(ku)]を発音する場合と、[す(su)]を発音する場合の母音[u]を、よく較べてみてください。舌の位置が違いませんか。[く(ku)]の場合は確かに後ろですが、[す(su)]の場合はそれよりも前にありませんか?
でも、日本語にとっては、そんなことはどうでもいいのです。日本語の場合は、どちらも「う」、つまりおんなじ「音韻」なのですから。
(※音韻と音素については“音韻講座プロローグ(1)”をお読みください。)
もう一つ。
八代亜紀さんの歌を思い出してみてください。
「雨雨降れ降れもっと降れ(あめあめふれふれもっとふれ)」
「雨(あめ)」の「め」と「降れ(ふれ)」の「れ」の母音[え(e)]が、若干「い(i)」に近くありませんか? でもいいんです。[i]よりは[e]に近いから、日本人はみんな[e]だと思って聞いています。だからそれで何の問題もないのです。
でも、例えば英語ではそうはいきません。これもいろいろ諸説あるのですが、9個の母音というのが分かりやすい。
日本語に近い「イ」と「ウ」と「エ」と「オ」。
それから「イ」と「エ」の中間の音と、「エ」と「ア」の中間の音。
さらには「ア」と「オ」の中間の音で「オ」の口して「ア」を言う。
「オ」と「ウ」の中間の音は口を丸めないで「ウ」を言う。
最後に口をあんまり開けない「ア」。
要するに、八代亜紀さんも、もし英語だったらもう少し気をつけて発音しなくちゃいけないということかもしれませんね。
その他にも、唇を丸くするかしないかのような区別もあります。
そんなわけで、よく目にする、舌の位置と母音の関係を示した図がこれです。
《ちゃんとした母音の図》

左が前舌、右が後舌で喉の奥の方。そして上が高舌。それから同じ場所にふたつあるのは、右側が唇を丸くする音です。
まあ、これ以上詳しい説明はいたしません。音声学一般をやるわけではないのですから。日本語の母音を考えるのなら、最初の簡単な表で十分です。
あれ、「ちゃんとした母音の図」とやらも、母音だけを示してあるんですよねえ。それなのに[y]とか[w]とかがありますけど、これって子音じゃないの?
おお、いいところに気がつきました。でも少々疲れたので今日はここまで。
次回は半母音についてお話ししましょうね。
いよいよ、ウチナーグチの音韻の世界の真髄に近づいていきます。
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