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銀細工の伝統

国際通りもクリスマス。
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アルバトロス・シルバー館。ふと、気になって中に入った。
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六代目又吉誠睦は、戦後宝飾店で働き、米兵向けのアクセサリーを作っていた。
http://lince.jp/hito/okinawamap/arumisede…
http://lince.jp/hito/koubousaihou…
もしかすると、この店で聞けば、その頃の「クガニゼーク」ならぬ「カンゼーク」のことが分かるかもしれない……

店の男の子は、興味を持って僕の話しをじっくりと聞いてくれた。
最近、ちょくちょくお客さんから又吉健次郎さんのことを聞かれるのだという。
「でも、勉強不足で。」
彼は、男性用の銀のカミサシをずっと探していたらしい。
「それなら一本だけ、売っている店、知ってるよ。もうこれから出ないかもしれない。絶対お買い得だよ」
仲嶺舞踊小道具店のことである。
「もうあきらめて、髪切っちゃいました」
「ウチナーカンプーにしたくて髪を伸ばしてたんだ」
「そうなんです」

たくさんの銀製品が展示されている。すごい品揃え。
「これ、叩いて作ってるの」
「いえ、鋳型です。叩いて作っていたら、値段も高くなるし、お客さんのニーズに答えられませんから。」

彼は、30年仕事をしている職人さんにわざわざ電話をかけて、「カンゼーク」について聞いてくれた。
「簪(かんざし)を作るからカンゼークというのだと思うよとのことでした」
又吉健次郎さんが「カンゼーク」であることに、何の疑問もないようであった。やはり、切れた伝統の中で、ウチナーグチも右往左往しているのだ、と、僕はそう思った。

「ありがとうね」
「いえ、今日は勉強になりました。」
また、いくつかの資料を・・・
『沖縄いろいろ事典』(1998年発行)
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かんざし:琉球王府時代(明治12年の廃藩置県以前)、沖縄では男も女も髪のかたちをつくるのにかんざしを用いた。
男は片髪という髪の結い方をし、髪差(本かんざし)と押差(副かんざし)で髪をとめた。(中略)
女の本かんざしをジーファーといい、漢字で起花と書く。(中略)長さは約17センチと男のものより長い。女性はとめるべき髪が多いからである。(中略)
尚王朝の解体以後、男はしだいにかんざしを使わなくなり、女の本かんざし(ジーファー)だけが残った。
しかし今やジーファーを日常的に使っている女性はさすがにほとんど見かけなくなった。琉舞を踊る女性は頭を昔風に結う必要があるからジーファーを使う。琉舞がジーファーの需要を残し、それでジーファーをつくる技術もかろうじて残った。
六角形の銀製のジーファーは、それじたいが工芸品のように美しい。実際に髪結いに用いなくても手元に置いておきたくなるほどだ。那覇に数人の金細工師(かねざいくし)がいて、細々と伝統を受けついでいるが、又吉健次郎さんのつくるものはとりわけ見事である。
※「起花と書く」とは、どこからの情報なのだろう。これだけ調べてきて、初耳である。

房指輪:(前略)房指輪は、元々は古くから沖縄のいくつかの特定の地域で、儀礼用の指輪として使われていた。(中略)特にノロにこそふさわしいものであったともいわれるが、それを伝えたのは辻のジュリたちだった。指輪の飾りはそれぞれ、昔の沖縄の日々の暮らしに根ざしたものだ。灯籠、魂を象徴するとされる蝶、衣服を表す芭蕉の葉っぱ、食物を表す魚、幸運のシンボル扇、やはり魂を表す鳩、そして花。このユニークなアクセサリーは、第二次世界大戦後、浜田庄司によって再評価された。又吉(健次郎)さんは、この指輪を20年近く作り続けている。(後略)
大量生産や売り上げには関心がなく、作品の価値を本当に分かってくれる人にだけ買ってもらえればいいという謙虚な人間の姿であり(後略)


『月刊琉球舞踊』(1999年9月号)
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金細工(カンゼーク)の解説より:カンゼークとは鍛冶屋またはなべ、かまなどの金物のこわれた部分を、修理するいかけ屋のこと(後略)

『沖縄の伝統文化』(沖縄県発行)
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金細工(かんぜーくぅ)の解説より:舞踊劇。金細工は鍛冶屋のこと。
ここではかんざしなどの細工職人を意味する。(後略)

おまけ:ことわざ
鍛冶屋(かんじゃー)が爪切り(ちみちり)小刀(しいぐ)も(ん)無い(ねえらん)
「紺屋の白袴」に同じ。八重山では・・・
鍛冶工(かじぐ)は(お)爪(ついみ)を切る(きいす)鋏(ぱさん)さえも(ざーん)ない(ねーぬ)

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tag: 国際通り  首里  「クガニゼーク」のこと  沖縄の旅_2009年12月  ジーファー  うちなーぐち  房指輪 

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