2009年12月23日(水)21時48分
国際通りの老舗“じんじん”【チャンプルーとタシヤーとイリチー】
じんじんで夕食。といっても肴つまんで飲むんですけどね。
じんじんには、いつも何かの集まりで来ることが多くて、なかなかしっとりと飲む機会がなかった。それで、今回の旅では、じんじんへただ飲みに行こうと最初から決めていたのです。
今日は、はじめてカウンターに座りました。マスターの真ん前。
じんじんは創業40年近い。いわば国際通りにある居酒屋としては最古参です。だから、マスターはもうずーっと那覇に生息する、沼の大ナマズみたいな存在だと思っていたのです。あんな顔しているしねえ。
ところが、実はマスター、数年前まで、なんと神奈川でふぐ料理屋をやられていたのだそうです。そこで、海釣りと日本酒に明け暮れていた。
マスターの親戚がじんじんをやっていたのだが、それが続けられなくなった。マスターに白羽の矢がたった。そしてマスターは、生まれ故郷の沖縄へ戻ってきたという物語。
神奈川にいる時に身体を壊して酒を辞めた。沖縄に帰ってきて、たまには飲むが、もう日本酒は飲む気にならない。やっぱり沖縄にいると泡盛が飲みたくなる。釣りは沖縄でも続けている。じんじんの売りの一つは、その日の朝マスターが釣ってきた新鮮な魚が食べられることです。
さて、本日はゆっくりと料理のご紹介をしましょう。
お通しはいつもの通り、絶品のゆし豆腐。
マスターの今日の釣果、グルクンのお刺身と、それからチキナチャンプルー

グルクンは沖縄県の県魚。フエダイ科タカサゴ属。チキナとはシマナー(島菜)を塩漬けにしたもの。シマナーとは、からし菜の仲間で、高菜みたいなもんですかね。
グルクン君のアップ。

うーん、見つめないで・・・
ソーミンタシヤー

ソーミンチャンプルーじゃないのかって。まあそれでもいいんですけどもね。でも本来チャンプルーとは島豆腐と野菜を炒めたもののことをいうんですねえ。
沖縄大百科事典の「チャンプルー」の項にはこう書いてあります。
「豆腐と野菜などの油炒め、沖縄で最も親しまれている家庭料理。(中略)豆腐を手で大きくちぎり、表面にこげ色がつくまで炒めてから野菜を入れ、塩で味をととのえる。使う野菜の名を上につけて〈…チャンプルー〉と名づける。(後略)」
だからチキナチャンプルーなわけね。
豆腐と野菜以外の炒め物をタシヤーという。
tasi=juN :(食べ物を油で)いためる(『沖縄語辞典』)
?iricii :油いため。油でいためた料理(『沖縄語辞典』)
ということは、「〜タシヤー」は「〜の炒め物」で、「〜イリチー」は「〜炒め」っていう感じかなあ。
だけどソーミンイリチーとはあんまり言わないですねえ。なんでかなあ……
※本記事の後ろに正解・異論を追記しました。
料理の薀蓄はここまで。
あとの料理は名前だけでご勘弁。
ドゥルワカシー、絶品です。大好き。

アイゴ。やはりマスターの釣果。スクガラスのスクの親です。

にが菜と島豆腐付き。このにが菜が曲者です。
おなかいっぱい。結構ボリュームがあるのです。
マスター、ご馳走様でした。また来ます。よいお年を・・・
じんじんには、いつも何かの集まりで来ることが多くて、なかなかしっとりと飲む機会がなかった。それで、今回の旅では、じんじんへただ飲みに行こうと最初から決めていたのです。

じんじんは創業40年近い。いわば国際通りにある居酒屋としては最古参です。だから、マスターはもうずーっと那覇に生息する、沼の大ナマズみたいな存在だと思っていたのです。あんな顔しているしねえ。
ところが、実はマスター、数年前まで、なんと神奈川でふぐ料理屋をやられていたのだそうです。そこで、海釣りと日本酒に明け暮れていた。
マスターの親戚がじんじんをやっていたのだが、それが続けられなくなった。マスターに白羽の矢がたった。そしてマスターは、生まれ故郷の沖縄へ戻ってきたという物語。
神奈川にいる時に身体を壊して酒を辞めた。沖縄に帰ってきて、たまには飲むが、もう日本酒は飲む気にならない。やっぱり沖縄にいると泡盛が飲みたくなる。釣りは沖縄でも続けている。じんじんの売りの一つは、その日の朝マスターが釣ってきた新鮮な魚が食べられることです。
さて、本日はゆっくりと料理のご紹介をしましょう。
お通しはいつもの通り、絶品のゆし豆腐。
マスターの今日の釣果、グルクンのお刺身と、それからチキナチャンプルー
グルクンは沖縄県の県魚。フエダイ科タカサゴ属。チキナとはシマナー(島菜)を塩漬けにしたもの。シマナーとは、からし菜の仲間で、高菜みたいなもんですかね。
グルクン君のアップ。
うーん、見つめないで・・・
ソーミンタシヤー
ソーミンチャンプルーじゃないのかって。まあそれでもいいんですけどもね。でも本来チャンプルーとは島豆腐と野菜を炒めたもののことをいうんですねえ。
沖縄大百科事典の「チャンプルー」の項にはこう書いてあります。
「豆腐と野菜などの油炒め、沖縄で最も親しまれている家庭料理。(中略)豆腐を手で大きくちぎり、表面にこげ色がつくまで炒めてから野菜を入れ、塩で味をととのえる。使う野菜の名を上につけて〈…チャンプルー〉と名づける。(後略)」
だからチキナチャンプルーなわけね。
豆腐と野菜以外の炒め物をタシヤーという。
tasi=juN :(食べ物を油で)いためる(『沖縄語辞典』)
?iricii :油いため。油でいためた料理(『沖縄語辞典』)
ということは、「〜タシヤー」は「〜の炒め物」で、「〜イリチー」は「〜炒め」っていう感じかなあ。
だけどソーミンイリチーとはあんまり言わないですねえ。なんでかなあ……
※本記事の後ろに正解・異論を追記しました。
料理の薀蓄はここまで。
あとの料理は名前だけでご勘弁。
ドゥルワカシー、絶品です。大好き。
アイゴ。やはりマスターの釣果。スクガラスのスクの親です。
にが菜と島豆腐付き。このにが菜が曲者です。
おなかいっぱい。結構ボリュームがあるのです。
マスター、ご馳走様でした。また来ます。よいお年を・・・
『沖縄大百科事典』
イリチー:煮物の一種。汁を主体にしない炒め煮である。材料はほとんど短冊切り、または千切りにまとめ、必ず豚だしを使う。砂糖・みりん・醤油・酒で調理し、煮汁を材料に煮ふくめてしまうので、できあがりは汁気のあまりない煮物となる。(後略)
『沖縄民俗辞典』
イリチー:食材料を油で炒めたあと、調味料とだし汁を加え、材料に味が染み込むまで混ぜながらゆっくり煮含める調理法。炒め煮。比較的かたく、味の染み込みにくい材料に適している。(後略)
チャンプルー:葉野菜などを豆腐と一緒に強火で炒める調理法。琉球王朝時代から庶民に食されていた日常食。豆腐を入れない炒め物の場合はタシヤー、炒めたあとだし汁で煮るのはイリチーといわれる。(中略)語源はインドネシアはじめ諸説あり、料理に限らず「混ぜ合わせる」の意味で広く用いられている。
『沖縄語辞典』
caNpuruu:料理名。豆腐・野菜などの油いため。中国からの借用語らしい。
『沖縄美味のナ・ン・ダ!?』
(チャンプルーの)語源については諸説あり、インドネシアの「かき混ぜる」という意味の言葉の「チャンプールー」が転じたものという説がひとつ。(中略)中国の「李公雑碎(リーゴンチャプスイ)」と呼ばれるごった煮がもとではないかとする説もある。(中略)とても身近な言葉なのに、その語源をたどれば世界をめぐってしまうこと自体が、まさに「チャンプルー的状況」を呈していると思う。そして沖縄では、語源を追求するよりおいしさを求めて、毎日毎日多くの台所でチャンプルーが作られ続けるのだ。
イリチー:煮物の一種。汁を主体にしない炒め煮である。材料はほとんど短冊切り、または千切りにまとめ、必ず豚だしを使う。砂糖・みりん・醤油・酒で調理し、煮汁を材料に煮ふくめてしまうので、できあがりは汁気のあまりない煮物となる。(後略)
『沖縄民俗辞典』
イリチー:食材料を油で炒めたあと、調味料とだし汁を加え、材料に味が染み込むまで混ぜながらゆっくり煮含める調理法。炒め煮。比較的かたく、味の染み込みにくい材料に適している。(後略)
チャンプルー:葉野菜などを豆腐と一緒に強火で炒める調理法。琉球王朝時代から庶民に食されていた日常食。豆腐を入れない炒め物の場合はタシヤー、炒めたあとだし汁で煮るのはイリチーといわれる。(中略)語源はインドネシアはじめ諸説あり、料理に限らず「混ぜ合わせる」の意味で広く用いられている。
『沖縄語辞典』
caNpuruu:料理名。豆腐・野菜などの油いため。中国からの借用語らしい。
『沖縄美味のナ・ン・ダ!?』
(チャンプルーの)語源については諸説あり、インドネシアの「かき混ぜる」という意味の言葉の「チャンプールー」が転じたものという説がひとつ。(中略)中国の「李公雑碎(リーゴンチャプスイ)」と呼ばれるごった煮がもとではないかとする説もある。(中略)とても身近な言葉なのに、その語源をたどれば世界をめぐってしまうこと自体が、まさに「チャンプルー的状況」を呈していると思う。そして沖縄では、語源を追求するよりおいしさを求めて、毎日毎日多くの台所でチャンプルーが作られ続けるのだ。
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(高山正樹のカミサン談)
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