2010年01月22日(金)19時30分
沖縄語を話す会の“チーム琉球”《ムーチーの日》R-16的【鬼餅】のはなし
今日は旧暦の12月8日、鬼餅(ムーチー)です。
【沖縄からの第7報】
夜7時。新都心へ。
沖縄語を話す会の“チーム琉球”(というふうに命名されたらしい)の勉強会にちょっとお邪魔してご挨拶してきました。
この日初めてお会いした二人、澤岻弥生(たくしやよい)さんと赤嶺智視(あかみねともみ)さんです。

今日はムーチーの日。澤岻さんは家で作ったムーチーを持ってきていました。
私は9時からリハーサルなので、本当に挨拶だけしてすぐに失礼しました。
今度は是非ゆっくりと。
忙し忙し……
鬼餅といえば…
先日の喜多見の沖縄語を話す会で、金城さんからお手製ムーチーを頂きました。
⇒http://mapafter5.blog.fc2.com/muti…
初孫ができて初めてのムーチーだったので、たくさん作って、親戚に送った、そのお裾分けで頂いた。
それから、大崎の「本家沖縄語を話す会」の忘年会でやられた紙芝居の台本が鬼餅(ウニムーチー)のハナシだった。

鬼餅の由来なら、この物語を解説すればよい。だが、それがなかなか難しい。全編ウチナーグチということもあるのだが、それよりも何よりも、テレビだったら放送コードに引っかかりそうなハナシなのである。
【沖縄からの第7報】
夜7時。新都心へ。
沖縄語を話す会の“チーム琉球”(というふうに命名されたらしい)の勉強会にちょっとお邪魔してご挨拶してきました。
この日初めてお会いした二人、澤岻弥生(たくしやよい)さんと赤嶺智視(あかみねともみ)さんです。

今日はムーチーの日。澤岻さんは家で作ったムーチーを持ってきていました。
私は9時からリハーサルなので、本当に挨拶だけしてすぐに失礼しました。
今度は是非ゆっくりと。
忙し忙し……
鬼餅といえば…
先日の喜多見の沖縄語を話す会で、金城さんからお手製ムーチーを頂きました。
⇒http://mapafter5.blog.fc2.com/muti…
初孫ができて初めてのムーチーだったので、たくさん作って、親戚に送った、そのお裾分けで頂いた。
それから、大崎の「本家沖縄語を話す会」の忘年会でやられた紙芝居の台本が鬼餅(ウニムーチー)のハナシだった。
鬼餅の由来なら、この物語を解説すればよい。だが、それがなかなか難しい。全編ウチナーグチということもあるのだが、それよりも何よりも、テレビだったら放送コードに引っかかりそうなハナシなのである。
1989年刊行の「おきなわキーワードコラムブック」も、「沖縄民俗辞典」も、上っ面だけの説明。

本件に限らず、「沖縄民俗辞典」の方は期待して購入しただけに、こういうことが多くてちょっと残念。
こんな時はやっぱり……
『沖縄大百科事典』
鬼餅由来:(前略)多くは、年中行事〈鬼餅〉の由来譚として語られる。兄が人を食う鬼となり、妹がそれを退治するために、石を入れた餅とふつうの餅を作って持っていく。石を入れた餅を食べた鬼は、こんな堅いものでも妹は食うのかと驚く。
(※さて、ここからだ)妹が足を開いて座っていると、鬼は〈その下の口は何か〉と尋ねる。妹が〈上の口は餅食う口、下の口は鬼食う口〉と答えたので、鬼は恐れて逃げ、崖から落ちて死ぬ。(後略)
(※但し、宮古・八重山にも鬼餅はあるが、こんなエロチックな由来はない。)
鬼餅:ムーチー・師走(シワーシ)ムーチー・ウニムッチー・ムーチー折目(ウイミ)などとも呼ぶ。石臼でひいた糯米の粉を練り、幅5〜6cm、長さ12cmくらいに平たくのばし、月桃(サンニン)や蒲葵(クバ)の葉に包んで蒸した餅(ムーチー)を、神棚や仏壇、かまどなどに供え、家族とくに子どもの健康を祈願する。(中略)蒲葵の葉で包んだ特大の餅を力餅とよび、男の子だけに与える。(中略)年内に子どもの生まれた家では初(ハチ)ムーチーを祝い、親類や近所に配る。この折目(12月8日)が定日になったのは尚敬23年(1735)から(中略)。現在も7日にやる漁村があるが、それは海上からくる鬼が、山村より1日早く上陸するからだという。(中略)俗に〈ホーハイ御嶽(ウタキ)〉(※うぶな娘はきっと顔を赤くする)とよばれている那覇市首里金城町の内金城御嶽小嶽の由来に、餅の霊力とオナリの性器のもつ呪力で、兄の大里鬼を退治したという伝説(鬼餅由来)がある。(後略)
それから、全網羅的ではないけれど、沖縄いろいろ事典もなかなか優れもの。同じような記述があるが、こちらは「石」ではなく「鉄」になっている。つっこんで調べると、面白いことがあるかもしれない。
だが、これでもいまひとつ物足りない。(何を物足りながっているのか、よく考えるとアホらしいが。)
『那覇市史』には、首里・那覇・真和志(天久)・小禄、それに加えて久米村(クニンダ)それぞれの年中行事が記載されている。
鬼餅について、那覇は「元来は悪鬼悪霊の退散を祈る物忌行事」、天久は「鬼は外、福は内」、小禄は「厄除け祈願」というように、この3項には、残念ながら(?)期待する(??)説明はないが、首里の項には、拙い文章だが、なかなか際どく凄みのある文章が掲載されている。
「昔、首里の内金城村に兄妹が住んでいた。兄は大里村の岩穴に移り住み、人を殺して食うので大里鬼(ウフザトウナー)と云われていた。うわさを聞いた妹が兄の住みかに行き、鍋のフタを開けてみると人肉が煮られていた。妹は噂のとおりだと驚いて逃げ帰えろうとする所へ兄が帰ってきた。うま肉を炊いてあるから食べて行けと云う。妹は用を済ましてくるからまってくれと云ったが兄は逃げられてはと妹に縄を付けてやったが、妹はこの縄を木の枝に縛ってその場を逃げたが、その後日妹は鉄片を入れた餅を作って兄を招いて食べさせた。妹は鉄片を入れてない餅を平気で食べて見せた。妹はわざと着物の前をはだけて性器が見えるように座っていた。鬼は餅を食べようとしたが、鉄が入っているので歯が立たない。兄の鬼は妹の性器を見てお前の下の口に血がついているがどうしたかと尋ねると妹は上の口は餅を食い、下の口は鬼を食うのだと答えた。
(※この後、逃げた鬼が崖から落ちて死ぬのは同じ)
それから金城村では12月8日の日に鬼餅を作ってお嶽に供えるようになった。このお嶽は現在の琉球大学女子寮の西側下に拝所としてある。」
さらに久米村の項では、その執筆者が次のように書いている。
「『首里金城(スイカナグシク)のホー ハイ ムーチー』の話は久米村でも語りつがれていたようで、中学の頃に母から今のような『金城町の鬼餅』などとまわりくどい話し方ではなく、そのものずばり、語ってくれたが、そのせいか『女性怖るべし』の感を思春期の頃強く印象づけられて今に至っている」
怖いもの見たさ、聞いてみたいなあ。
本件に限らず、「沖縄民俗辞典」の方は期待して購入しただけに、こういうことが多くてちょっと残念。
こんな時はやっぱり……
『沖縄大百科事典』
鬼餅由来:(前略)多くは、年中行事〈鬼餅〉の由来譚として語られる。兄が人を食う鬼となり、妹がそれを退治するために、石を入れた餅とふつうの餅を作って持っていく。石を入れた餅を食べた鬼は、こんな堅いものでも妹は食うのかと驚く。
(※さて、ここからだ)妹が足を開いて座っていると、鬼は〈その下の口は何か〉と尋ねる。妹が〈上の口は餅食う口、下の口は鬼食う口〉と答えたので、鬼は恐れて逃げ、崖から落ちて死ぬ。(後略)
(※但し、宮古・八重山にも鬼餅はあるが、こんなエロチックな由来はない。)
鬼餅:ムーチー・師走(シワーシ)ムーチー・ウニムッチー・ムーチー折目(ウイミ)などとも呼ぶ。石臼でひいた糯米の粉を練り、幅5〜6cm、長さ12cmくらいに平たくのばし、月桃(サンニン)や蒲葵(クバ)の葉に包んで蒸した餅(ムーチー)を、神棚や仏壇、かまどなどに供え、家族とくに子どもの健康を祈願する。(中略)蒲葵の葉で包んだ特大の餅を力餅とよび、男の子だけに与える。(中略)年内に子どもの生まれた家では初(ハチ)ムーチーを祝い、親類や近所に配る。この折目(12月8日)が定日になったのは尚敬23年(1735)から(中略)。現在も7日にやる漁村があるが、それは海上からくる鬼が、山村より1日早く上陸するからだという。(中略)俗に〈ホーハイ御嶽(ウタキ)〉(※うぶな娘はきっと顔を赤くする)とよばれている那覇市首里金城町の内金城御嶽小嶽の由来に、餅の霊力とオナリの性器のもつ呪力で、兄の大里鬼を退治したという伝説(鬼餅由来)がある。(後略)
それから、全網羅的ではないけれど、沖縄いろいろ事典もなかなか優れもの。同じような記述があるが、こちらは「石」ではなく「鉄」になっている。つっこんで調べると、面白いことがあるかもしれない。
だが、これでもいまひとつ物足りない。(何を物足りながっているのか、よく考えるとアホらしいが。)
『那覇市史』には、首里・那覇・真和志(天久)・小禄、それに加えて久米村(クニンダ)それぞれの年中行事が記載されている。
鬼餅について、那覇は「元来は悪鬼悪霊の退散を祈る物忌行事」、天久は「鬼は外、福は内」、小禄は「厄除け祈願」というように、この3項には、残念ながら(?)期待する(??)説明はないが、首里の項には、拙い文章だが、なかなか際どく凄みのある文章が掲載されている。
「昔、首里の内金城村に兄妹が住んでいた。兄は大里村の岩穴に移り住み、人を殺して食うので大里鬼(ウフザトウナー)と云われていた。うわさを聞いた妹が兄の住みかに行き、鍋のフタを開けてみると人肉が煮られていた。妹は噂のとおりだと驚いて逃げ帰えろうとする所へ兄が帰ってきた。うま肉を炊いてあるから食べて行けと云う。妹は用を済ましてくるからまってくれと云ったが兄は逃げられてはと妹に縄を付けてやったが、妹はこの縄を木の枝に縛ってその場を逃げたが、その後日妹は鉄片を入れた餅を作って兄を招いて食べさせた。妹は鉄片を入れてない餅を平気で食べて見せた。妹はわざと着物の前をはだけて性器が見えるように座っていた。鬼は餅を食べようとしたが、鉄が入っているので歯が立たない。兄の鬼は妹の性器を見てお前の下の口に血がついているがどうしたかと尋ねると妹は上の口は餅を食い、下の口は鬼を食うのだと答えた。
(※この後、逃げた鬼が崖から落ちて死ぬのは同じ)
それから金城村では12月8日の日に鬼餅を作ってお嶽に供えるようになった。このお嶽は現在の琉球大学女子寮の西側下に拝所としてある。」
(旧首里の年中行事:鬼もちの伝説)
さらに久米村の項では、その執筆者が次のように書いている。
「『首里金城(スイカナグシク)のホー ハイ ムーチー』の話は久米村でも語りつがれていたようで、中学の頃に母から今のような『金城町の鬼餅』などとまわりくどい話し方ではなく、そのものずばり、語ってくれたが、そのせいか『女性怖るべし』の感を思春期の頃強く印象づけられて今に至っている」
(久米村の一年:ムーチー)
怖いもの見たさ、聞いてみたいなあ。
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