2010年07月17日(土)14時06分
高江で見つけた看板の表と裏【マングース対策事業で仕掛けたられた罠】
《7月17日-5》
もうひとつの座り込みテントにも数人の方がいらっしゃいました。静かにおしゃべりをしたり、読書に耽っていたりと、ゆっくりと穏やかな時間が流れているようでした。そんな日がずーっと続けばいいのだけれど、ブルドーザーでもやってきてくれないと危機感が薄れる、とはトミヒサさんの言。

沖縄防衛局の張り紙です。ここは米軍に提供している区域だから、日本人は邪魔をしないように、という内容です。佐喜真美術館の近くにもこれに類する看板がありました。というか、沖縄ではいたるところで見かける警告。かつて自由に使っていた自分たちの土地、いったい国が守っているのは沖縄の日本国民なのか米軍なのか、沖縄の人たちが日本政府に対して不信感を抱くのも当然かもしれません。
ところが、おかしな看板を見つけました。

いったい誰に向けてのメッセージなのだろう。
「ホントはね、この看板は裏返しなんだ、ほらね」と、看板をひっくり返して見せていただきました。つまり、この奥でゲリラ訓練をしている米兵に、ココから先で軍事訓練をしてはいけないという看板なのです。言い換えれば、すぐそこで実弾演習が行われている可能性があるということでもあります。おそろしい。

洒落で看板を裏返しにしちゃったらしい。おじさんのイタズラです。表は(どっちが表でどっちが裏かは知りませんが)、無断で立ち入ると日本国の法律によって罰せられるという見慣れた警告看板です。腹立たしい。裏返しにしたくなる気持ちもよく分かります。米兵は間違えてこっちで訓練しても罰せられることなどないのですから。
※このおじさんは佐久間さん。このあと、高江に行くたびに笑顔で迎えてくれました。
(2014年4月8日に記す)
入っちゃいけないという道をトミヒサさんに案内されてちょいと奥まで行ってみました。
なんだ、あれは。

あ、ここにもある。

字、読めますか?沖縄県マングース対策事業だって。

沖縄県文化環境部自然保護課が設置しているのですね。これ、マングースを捕獲するための罠なのです。ハブを駆除するために放たれたマングース。しかしマングースはハブの天敵ではありません。かなり力は拮抗しているらしい。つまりマングースはわざわざ危険を冒してハブを食べようなんてしないのです。ヤンバルクイナを獲って食べる方がずっと楽なのです。そうやって増えたマングースは、農作物まで荒らすようになってきた。今やマングースは人間と共にハブと闘う味方ではなく、駆除されるべき悪玉なのです。
旧式の罠もあります。

「環境省やんばる野生生物保護センター」とあります。

環境省の外来生物対策事業。こっちは国が設置したんですね。
石垣島で、サトウキビの害虫であるアオドウガネを駆除する目的で導入されたオオヒキガエルは、現在は人体や自然環境に影響を与える特定外来生物のひとつとされる。環境省那覇自然環境事務所は「石垣島オオヒキガエル捕獲大作戦」なる大会を主催、捕獲した頭数や重さに応じて参加者を表彰。
エゾオオカミは日本オオカミの亜種。かつて入植者の家畜を襲う害獣とされ、懸賞金までかけられて徹底的に駆除され絶滅した。そして今、オオカミのいなくなった北海道で増えに増えたエゾシカによる農作物被害に困った人間様は、日本オオカミに近い品種を再導入してなんとかしようと目論んでいる。
またオーストラリアでは、保護していたカンガルーによる被害が拡大したために、「カンガルーの子供の人道的な殺し方」なる指針を政府が出したらしい。
人間が自然をコントロールできるなどと思うのが間違い、今や大切なのは生物多様性、人間も他の生物と同等、謙虚に生きること、確かにその通りだと言いたくなります。しかしやはり僕は思うのです。そんな単純な「宗教」ではどうにもならない。人間はこのまま自然と悪戦苦闘して未来を開拓していくしかない、その行く末が理想の世界なのか破滅なのかは誰にもわからない、しかし、背負わされてしまった十字架を下ろすことはもう許されないのではないか。
つまり、生物多様性が大切だという人たちの多くは、生物多様性を破壊すると、やがては人間世界にも悪影響が出て、とてつもないしっぺ返しが来る、だから生物多様性を守らなければいけないのだ、そのように言っているだけで、それもまた人間のエゴではないのか、そう思えて仕方がないのです。
境界線の向こう側にある豊かな自然を破壊するものは、米軍の訓練だけではありません。むしろ、晴れて返還されれば、このヤンバルの森が手付かずに残されることはないでしょう。全域ではないにしろ、沖縄の人たちのための開発が始まるでしょう。自然にとっては、そのほうがむしろマイナスかもしれません。だとすれば看板の裏も表も、自然にとって大した差異はありません。
米軍が管理する区域の道を歩きながら、ヤンバルクイナやジュゴンなどの「感傷的な自然」や、生物多様性をお題目のように唱える「漠然とした自然」を、基地問題に絡めて語る「緩さ」には、僕は陥りたくないと密かに思っていたのです。
ハブを捕らえれば、一匹5,000円で役所が買い取ってくれる。例えばそれに異を唱えて運動している人っているのかなあ。かわいいマングースを駆除することに反対している人は存在するらしいのですが。
もうひとつの座り込みテントにも数人の方がいらっしゃいました。静かにおしゃべりをしたり、読書に耽っていたりと、ゆっくりと穏やかな時間が流れているようでした。そんな日がずーっと続けばいいのだけれど、ブルドーザーでもやってきてくれないと危機感が薄れる、とはトミヒサさんの言。
沖縄防衛局の張り紙です。ここは米軍に提供している区域だから、日本人は邪魔をしないように、という内容です。佐喜真美術館の近くにもこれに類する看板がありました。というか、沖縄ではいたるところで見かける警告。かつて自由に使っていた自分たちの土地、いったい国が守っているのは沖縄の日本国民なのか米軍なのか、沖縄の人たちが日本政府に対して不信感を抱くのも当然かもしれません。
ところが、おかしな看板を見つけました。
いったい誰に向けてのメッセージなのだろう。
「ホントはね、この看板は裏返しなんだ、ほらね」と、看板をひっくり返して見せていただきました。つまり、この奥でゲリラ訓練をしている米兵に、ココから先で軍事訓練をしてはいけないという看板なのです。言い換えれば、すぐそこで実弾演習が行われている可能性があるということでもあります。おそろしい。
洒落で看板を裏返しにしちゃったらしい。おじさんのイタズラです。表は(どっちが表でどっちが裏かは知りませんが)、無断で立ち入ると日本国の法律によって罰せられるという見慣れた警告看板です。腹立たしい。裏返しにしたくなる気持ちもよく分かります。米兵は間違えてこっちで訓練しても罰せられることなどないのですから。
※このおじさんは佐久間さん。このあと、高江に行くたびに笑顔で迎えてくれました。
(2014年4月8日に記す)
入っちゃいけないという道をトミヒサさんに案内されてちょいと奥まで行ってみました。
なんだ、あれは。
あ、ここにもある。
字、読めますか?沖縄県マングース対策事業だって。
沖縄県文化環境部自然保護課が設置しているのですね。これ、マングースを捕獲するための罠なのです。ハブを駆除するために放たれたマングース。しかしマングースはハブの天敵ではありません。かなり力は拮抗しているらしい。つまりマングースはわざわざ危険を冒してハブを食べようなんてしないのです。ヤンバルクイナを獲って食べる方がずっと楽なのです。そうやって増えたマングースは、農作物まで荒らすようになってきた。今やマングースは人間と共にハブと闘う味方ではなく、駆除されるべき悪玉なのです。
旧式の罠もあります。
「環境省やんばる野生生物保護センター」とあります。
環境省の外来生物対策事業。こっちは国が設置したんですね。
石垣島で、サトウキビの害虫であるアオドウガネを駆除する目的で導入されたオオヒキガエルは、現在は人体や自然環境に影響を与える特定外来生物のひとつとされる。環境省那覇自然環境事務所は「石垣島オオヒキガエル捕獲大作戦」なる大会を主催、捕獲した頭数や重さに応じて参加者を表彰。
エゾオオカミは日本オオカミの亜種。かつて入植者の家畜を襲う害獣とされ、懸賞金までかけられて徹底的に駆除され絶滅した。そして今、オオカミのいなくなった北海道で増えに増えたエゾシカによる農作物被害に困った人間様は、日本オオカミに近い品種を再導入してなんとかしようと目論んでいる。
またオーストラリアでは、保護していたカンガルーによる被害が拡大したために、「カンガルーの子供の人道的な殺し方」なる指針を政府が出したらしい。
人間が自然をコントロールできるなどと思うのが間違い、今や大切なのは生物多様性、人間も他の生物と同等、謙虚に生きること、確かにその通りだと言いたくなります。しかしやはり僕は思うのです。そんな単純な「宗教」ではどうにもならない。人間はこのまま自然と悪戦苦闘して未来を開拓していくしかない、その行く末が理想の世界なのか破滅なのかは誰にもわからない、しかし、背負わされてしまった十字架を下ろすことはもう許されないのではないか。
つまり、生物多様性が大切だという人たちの多くは、生物多様性を破壊すると、やがては人間世界にも悪影響が出て、とてつもないしっぺ返しが来る、だから生物多様性を守らなければいけないのだ、そのように言っているだけで、それもまた人間のエゴではないのか、そう思えて仕方がないのです。
境界線の向こう側にある豊かな自然を破壊するものは、米軍の訓練だけではありません。むしろ、晴れて返還されれば、このヤンバルの森が手付かずに残されることはないでしょう。全域ではないにしろ、沖縄の人たちのための開発が始まるでしょう。自然にとっては、そのほうがむしろマイナスかもしれません。だとすれば看板の裏も表も、自然にとって大した差異はありません。
米軍が管理する区域の道を歩きながら、ヤンバルクイナやジュゴンなどの「感傷的な自然」や、生物多様性をお題目のように唱える「漠然とした自然」を、基地問題に絡めて語る「緩さ」には、僕は陥りたくないと密かに思っていたのです。
ハブを捕らえれば、一匹5,000円で役所が買い取ってくれる。例えばそれに異を唱えて運動している人っているのかなあ。かわいいマングースを駆除することに反対している人は存在するらしいのですが。
(文責:高山正樹)
tag: 高江 沖縄の自然 沖縄の旅_2010年7月
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