2011年07月07日(木)19時30分
拝啓大城立裕先生「普天間よ」は大城立裕の最後の小説になるのだろうか?
東日本大震災から118日目……
台湾は国家ではないため、日本政府が外国人留学生に対して支給している東日本大震災の補助金を、台湾の留学生は受け取る資格がないとして、学校側から支給を拒否されたというニュースがあった。
【そこで呟いた】
16:18
日本の役人とルール、鄭ちゃん、こんな国でごめんね
鄭ちゃんとは台湾から照明の勉強をしに日本へやってきて、今龍前照明で頑張って働いている子のことである。
先月の毎日新聞に続いて、朝日新聞にも「普天間よ」について大城立裕氏へのインタビュー記事が掲載された。

大城さんはこんなふうに答えている。
「私は小説に政治問題を取り入れるのは好きではありません。政治的に描くのではなく、沖縄人のアイデンティティーを奪還できるかどうかというテーマで象徴的に描けないかと考えた。基地問題の本質は、奪われた土地を取り戻したいという沖縄人のアイデンティティーです。基地にされた土地には、もともと人間がいた。人が生き、生活を営み、歴史を紡いできた。土地にはその記憶が染みついている。我々沖縄人はそこに生きているというアイデンティティーを奪還するのだ、という思いを書いたつもりです」
重要なのは、大城さんが政治を作品に持ち込まないということではない。基地問題は政治問題ではなく、沖縄人のアイデンティティーの問題だと言っていることだ。大和にとっての沖縄の基地問題も、実は政治問題などではなく、沖縄の人々のアイデンティティーを踏みにじっている加害性のことなのだという自覚が、大和の人間にどれほどあるだろうか。
「琉球舞踊は沖縄の代表的な文化、いわば魂です。ヘリの爆音に伴奏の音曲はかき消されてしまうが、それでも主人公は踊り続ける。そしてヘリが飛び去り、再び音曲が聞こえてくると、踊りはぴったりと音曲に合って終わる。基地の重圧に琉球文化は負けない、との思いを込めました。沖縄人の基地への抵抗、闘いは粘り強く続く、との希望の表明でもあります」
例えば宇夫方路が、そんな意識を持って踊っているとは思えない。沖縄の琉球舞踊の先生方も同じであろう。ただ、外側から沖縄舞踊を見つめていると、確かにその背景に「政治的」な沖縄の歴史が見えてくる。
ほんの30年くらい前まで、日本もまた同じであった。今の日本の表現者の多くが、あらゆる政治的なものから自由でいられると信じているらしいのだが、しかしもしかするとそれは錯覚であって、やがて痛烈にそれを思い知らされる日が来ることになのかもしれない。
【そんなことを思いながら呟いた】
16:36
拝啓、大城先生。ぼくツイートしました。7人目です。たった。今月お伺いします。台風とお葬式がなければですが。/いま沖縄から考える。大城立裕さんに聞く/朝日新聞
すると、「台湾人留学生への震災補助金を拒否」はガセネタだというニュース。台湾の主要誌「自由時報」の誤報か、栃木県宇都宮市にある大学事務の誤解に基づく不幸だという。
【それでも僕は呟いた】
17:21
だそうです。中国メディアの環球時報が「台湾のNOWnewsによると」と報じたんだとか。でも鄭ちゃんに向けた「こんな国でごめんね」はそのままにしておこう。
さらにある方から情報を頂いた。どうやらガセネタというわけでもないらしい。日本と台湾は国交がないため国費留学がない。国費留学でないと震災補助金が貰えないのだというのである。詳しいことは分からない。ただ杓子定規の官僚的顔つきをした日本人の顔が浮かんでくる。
支援物資を被災地に上空から落下させて届けた米軍に対し、ルール違反だとクレームをつけた日本の馬鹿官僚に向かって、「重くて飛行に危険をきたしたから落としたのだ」と答えたとされるエピソード。なんだか映画のような出来すぎた話にも思えるが、ありそうなことだ。
しかし、その米軍の一部の兵隊が、沖縄で無茶苦茶なことをする。アメリカはたとえ犯罪者であっても自国民をかばう。しかし……
拝啓、大城立裕先生。日本の官僚たちは、沖縄の人々を自国民とみなしていないのでしょうか。今度、お会いできる日を、心から楽しみにしています。
【追伸】
「普天間よ」のことが新聞に大きく掲載されたので、宇夫方女史の父上、隆士氏が大城さんに手紙を送りました。数日後、大城さんからお返事が来ました。それには、この「普天間よ」を最後に、小説はもう書かないつもりである旨のことが書かれていました。
台湾は国家ではないため、日本政府が外国人留学生に対して支給している東日本大震災の補助金を、台湾の留学生は受け取る資格がないとして、学校側から支給を拒否されたというニュースがあった。
【そこで呟いた】
16:18
日本の役人とルール、鄭ちゃん、こんな国でごめんね
鄭ちゃんとは台湾から照明の勉強をしに日本へやってきて、今龍前照明で頑張って働いている子のことである。
先月の毎日新聞に続いて、朝日新聞にも「普天間よ」について大城立裕氏へのインタビュー記事が掲載された。
大城さんはこんなふうに答えている。
「私は小説に政治問題を取り入れるのは好きではありません。政治的に描くのではなく、沖縄人のアイデンティティーを奪還できるかどうかというテーマで象徴的に描けないかと考えた。基地問題の本質は、奪われた土地を取り戻したいという沖縄人のアイデンティティーです。基地にされた土地には、もともと人間がいた。人が生き、生活を営み、歴史を紡いできた。土地にはその記憶が染みついている。我々沖縄人はそこに生きているというアイデンティティーを奪還するのだ、という思いを書いたつもりです」
重要なのは、大城さんが政治を作品に持ち込まないということではない。基地問題は政治問題ではなく、沖縄人のアイデンティティーの問題だと言っていることだ。大和にとっての沖縄の基地問題も、実は政治問題などではなく、沖縄の人々のアイデンティティーを踏みにじっている加害性のことなのだという自覚が、大和の人間にどれほどあるだろうか。
「琉球舞踊は沖縄の代表的な文化、いわば魂です。ヘリの爆音に伴奏の音曲はかき消されてしまうが、それでも主人公は踊り続ける。そしてヘリが飛び去り、再び音曲が聞こえてくると、踊りはぴったりと音曲に合って終わる。基地の重圧に琉球文化は負けない、との思いを込めました。沖縄人の基地への抵抗、闘いは粘り強く続く、との希望の表明でもあります」
例えば宇夫方路が、そんな意識を持って踊っているとは思えない。沖縄の琉球舞踊の先生方も同じであろう。ただ、外側から沖縄舞踊を見つめていると、確かにその背景に「政治的」な沖縄の歴史が見えてくる。
ほんの30年くらい前まで、日本もまた同じであった。今の日本の表現者の多くが、あらゆる政治的なものから自由でいられると信じているらしいのだが、しかしもしかするとそれは錯覚であって、やがて痛烈にそれを思い知らされる日が来ることになのかもしれない。
【そんなことを思いながら呟いた】
16:36
拝啓、大城先生。ぼくツイートしました。7人目です。たった。今月お伺いします。台風とお葬式がなければですが。/いま沖縄から考える。大城立裕さんに聞く/朝日新聞
すると、「台湾人留学生への震災補助金を拒否」はガセネタだというニュース。台湾の主要誌「自由時報」の誤報か、栃木県宇都宮市にある大学事務の誤解に基づく不幸だという。
【それでも僕は呟いた】
17:21
だそうです。中国メディアの環球時報が「台湾のNOWnewsによると」と報じたんだとか。でも鄭ちゃんに向けた「こんな国でごめんね」はそのままにしておこう。
さらにある方から情報を頂いた。どうやらガセネタというわけでもないらしい。日本と台湾は国交がないため国費留学がない。国費留学でないと震災補助金が貰えないのだというのである。詳しいことは分からない。ただ杓子定規の官僚的顔つきをした日本人の顔が浮かんでくる。
支援物資を被災地に上空から落下させて届けた米軍に対し、ルール違反だとクレームをつけた日本の馬鹿官僚に向かって、「重くて飛行に危険をきたしたから落としたのだ」と答えたとされるエピソード。なんだか映画のような出来すぎた話にも思えるが、ありそうなことだ。
しかし、その米軍の一部の兵隊が、沖縄で無茶苦茶なことをする。アメリカはたとえ犯罪者であっても自国民をかばう。しかし……
拝啓、大城立裕先生。日本の官僚たちは、沖縄の人々を自国民とみなしていないのでしょうか。今度、お会いできる日を、心から楽しみにしています。
【追伸】
「普天間よ」のことが新聞に大きく掲載されたので、宇夫方女史の父上、隆士氏が大城さんに手紙を送りました。数日後、大城さんからお返事が来ました。それには、この「普天間よ」を最後に、小説はもう書かないつもりである旨のことが書かれていました。
- 関連記事
-
-
ウチナーグチのこと、頑なではなく 2011/09/02
-
出来る限り自分の眼で確かめる 2011/08/25
-
一回だけなら大丈夫さ 2011/08/23
-
美しさを基準にして 2011/08/22
-
あとの祭り 2011/08/21
-
またちょいと呟き始めた…… 2011/08/08
-
実感なく…… 2011/07/12
-
拝啓大城立裕先生「普天間よ」は大城立裕の最後の小説になるのだろうか? 2011/07/07
-
深夜のやりとり 2011/06/29
-
たわいもないことが「いいのね?」 2011/06/25
-
M.A.P.縁(ゆかり)のセブンイレブン《友たちよ、聞いているか》 2011/06/21
-
「人間」「国民」「経営者」 2011/06/20
-
ツイッター三昧の1日 2011/06/15
-
まっすぐな一本の道 2011/06/10
-
那覇文化協会に「うちなーぐち部会」発足 2011/06/09
-
tag: 大城立裕
← (とりあえず暫定アップ) | すくすくと伸びるものたち《その影でマスコミが作り出すスケープゴード序説》 →
コメントの投稿
Track Back
ご案内
この新ブログへ引越し作業中です!
├ 月別アーカイブ
| └ 2011年07月 - 07日 (木)
├ カテゴリー
| └ なんやかんや
└ 拝啓大城立裕先生「普天間よ」は大城立裕の最後の小説になるのだろうか?
(ブログの説明はトップページに)
ページジャンプ
全1ページ中
1ページ目
1ページ目
カレンダー(月別)
月別アーカイブ
plugin by カスタムテンプレート
最新記事(+webslice)
新着コメント+Trackback
NEWコメント<>+-
- 2019-03-16 MAP : 宮沢賢治の“トロメライ”って何?(「音を楽しむ雑記帖」→「宮澤賢治考」)-コメントを転載2
- 2019-03-16 MAP : 宮沢賢治の“トロメライ”って何?(「音を楽しむ雑記帖」→「宮澤賢治考」)-コメントを転載
- 2019-03-16 MAP : 47個のコメントの意味(2006年2月のこと)-コメントも転載しました4
- 2019-03-16 MAP : 47個のコメントの意味(2006年2月のこと)-コメントも転載しました3
- 2019-03-16 MAP : 47個のコメントの意味(2006年2月のこと)-コメントも転載しました2
- 2019-03-16 MAP : 47個のコメントの意味(2006年2月のこと)-コメントも転載しました。
- 2019-03-15 MAP : 神楽坂とCHICAGO-「宮沢賢治考」のコメント2
- 2019-03-15 MAP : 神楽坂とCHICAGO-「宮沢賢治考」のコメント1
- 2019-03-15 MAP : キャッチコピー後日談-サイト振興委員会
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-山猫ブログに頂いたコメント4
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-白石准の返信
- 2019-03-15 高山正樹 : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-高山正樹の返信
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-山猫ブログに頂いたコメント3
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-山猫ブログに頂いたコメント2
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-白石准の返信
- 2019-03-15 MAP : 川越美術館で“どんぐりと山猫”上演-山猫ブログに頂いたコメント1
- 2019-03-15 MAP : 【田中寺公演】本番と打上げ-山猫ブログへのコメント転載3
- 2019-03-15 MAP : 【田中寺公演】本番と打上げ-山猫ブログへのコメント転載2
- 2019-03-15 MAP : 【田中寺公演】本番と打上げ-山猫ブログへのコメント転載1
- 2019-03-15 MAP : みそかです-山猫ブログのコメントを転載
Trackback
<>
+
-
- 2017-08-06 ひだまりのお話 : 久米明さんにお会いしました。《懐かしい過去たちに囲まれて》-街話§J街通信[95]酒舎かんとりぃ
- 2012-12-31 初老間近のしがない俳優の呟き : (まもなく)-実験は続く…
- 2012-12-10 M.A.P.after5 : 玄羽さんの送別会-沖縄芸人ライブ“ぱんみかす”(そっと内緒に追記して再投稿)
- 2012-11-20 M.A.P.after5 : 体育会系居酒屋-出ないなら出る練習をする
- 2012-11-20 M.A.P.after5 : お久しぶりです浅野さん!-出ないなら出る練習をする
Comment
「地震から半年…台湾からの義援金がついに、世界ダントツ一位の200億突破!!九州ほどの大きさしかなく、日本人と比べで収入も3分の1くらい。親日台湾からの思い!!悲しいことに、メディアではほとんど報道されない…」